安くて簡単。
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Ubuntu Linuxを入れてすっかり実用的に使えるようになったMacBook Air 11″ Mid 2011ですが、さすがに10年近く前から使用しているものなのでバッテリーはだいぶヘタってしまっていました。どの程度信頼できるものなのかわかりませんが、ケーブルのLEDが緑になって充電が停止した状態でもバッテリー残量は62%くらいになっていてそれ以上充電することはできず、そこからの推定使用可能時間は2時間以下の表示となっていました。

その状態ではちょっと心もとないというか、充電しながらでないと怖くて使えないので、バッテリーを交換してみてはどうかと調べてみました。Appleのウェブサイトを見ると今でも交換してもらえそうなのはすごいのですが、費用が14080円となっています。新しいPCを購入することを考えればそれでも十分安いとは思いますが、しかし実際には本体の価値を超えているように思われて躊躇してしまいました。

そこでちょっと調べてみると、自分で交換するのも難しくないようです。iFixitのページで交換方法は詳しく説明されていますが、それを見ても工具さえあればネジを外して入れ替えて元に戻すだけで、非常に簡単そうに見えます。

肝心のバッテリー自体もAmazonで調べると中国製らしき互換品が数え切れないほど見つかり、一体どれがいいのかもさっぱりわからないくらいです。例によって商品説明もレビューも全く当てにならないので、とりあえず工具が付属していて、安めのものを適当に選んで購入してみることにしました。たかだか5000円程度なので、炎上・爆発したり本体を壊しさえしなければ、失敗したとしても諦めのつく価格です。

注文するともう翌朝には届いてしまったのですが、特に怪しい感じはしなかったので早速交換してみることにしました。iFixitにあるとおりの手順で本当に簡単で、交換作業自体はものの15分足らずで終わってしまいます。ただ、さすがにオマケなので付属してくる工具の精度が低くネジにしっかり咬んでくれないので、舐めてしまわないよう力加減に注意して慎重に回す必要がありました。作業にあたって注意が必要なことといえばそれくらいなので、もし高精度な工具を持っていればあっという間に終わるのではないでしょうか。

ただ、時間がかかるのはその後です。Amazonのレビューを見ると1回使ったら容量がかなり少なくなってしまったという人がいるのですが、もしかするとそういう人は「キャリブレーション」をしていないのかもしれません。バッテリーには説明書の類が付属していなかったのでこれもiFixitなどを見ていないとわからないのですが、交換後に一旦満充電状態になってから2時間充電を続け、その後放電させて電源が切れてから5時間放置して、それから再度満充電にするという「儀式」です。これによってバッテリーの正確な容量をシステムに認識させ、残容量が精度良く表示されるようになるというもので、以前はAppleも定期的にこの儀式を行うよう指示していたのですが、最近は言わなくなったようなのであまり知られていないのかもしれません。

今回の場合、最初の充電時に残量表示が100%になってからも1時間以上充電が続いていたので、やはり最初は容量の認識にだいぶズレがあったようですが、キャリブレーション後には100%になって間もなく充電が停止するようになったので、効果はあるのではないかと思います。ただし、過充電と過放電はバッテリーに最もストレスを与えるものなので、頻繁にやるべきではないでしょう。普通に使っている分には大きくずれるということはないと思うので、私もよほどのことがなければ今後はやらないでしょう。

ということで、この記事は交換後のバッテリーを使用してスターバックスで書いてみているのですが、ここまで1時間弱使用していて残量が98%から76%になりました。このペースで行くと4時間程度使えるということになりますから、まあまあ悪くない、というか5000円弱の投資に対しては十分すぎる効果ではないでしょうか。新品時点でも公称最大5時間ということだったので、実用性能としては元に戻ったということになるかと思います。もしもバッテリーが寿命だから捨てるしかない、と諦めていた人がいたら、macOSのままでは性能的にも厳しいのでLinuxへの切り替えもセットにはなりますが、バッテリー交換で簡単に蘇らせることができるというのは本体買い替え以外の選択肢にもなると思います。ただし、そのPCでやりたいことにもよりますね。