Indy 500 2013ちょっと見くびっていたかもしれません。

モータースポーツの世界三大レースといえばF1モナコグランプリ耐久レースル・マン24時間レース、そしてインディ500です。私も先日の旅行で訪れたIndianapolis Motor Speedwayで開催され、そのレース距離が500マイルであることからこの名が付けられていますが、やはり誰もいない閑散としたサーキットをミニバンでのろのろ走るのではなく、沢山の観客で埋めつくされたスタンドと爆音を上げて高速走行するマシンを見てみたいものです。Indyシリーズ自体は昨年のデトロイトGPを観ましたが、オーバルトラックでは観たことがありませんでしたし、レースそのものだけでなく観客の盛り上がりも最高であろうインディ500を体験したい…ということでしたが、昨年の経験ですっかり懲りてしまった家族は付き合ってくれないので諦めるしかないのかと思っていたところ、職場の若手2名が付き合ってくれることになったので、3人で日帰りで観戦に行ってくることになりました。

私の自宅からサーキットまでは通常4時間20分ほどということでしたが、12時スタートのレースに対して若干の余裕を見て朝6時に出発することにしました。インディアナポリスの市街地までは日曜日の早朝ということでガラガラの道路を順調に進みましたが、駐車場まであと2.5kmほどのところから交通規制と大渋滞が始まり、なんとか車を停めることができたのは11時半、そしてサーキットに近づくととんでもない行列ができていてとてもスタートには間に合わない…と思ったらこの行列はクーラーボックスなどを持ち込む人がチェックを待つための列で、手荷物の少ない私たちはゲート脇の短い列からスッと入場できて、選手紹介には間に合わなかったものの国歌斉唱はスタンドで聞くことができました。
Race day
チケットを予約するときの座席選びではずいぶん悩みましたが、スタンドの前の方の列で迫力を味わうか、上の方でレース展開を楽しむかのどちらかにしよう、中途半端は良くないということで、フィニッシュラインの近くが空いていた前方D列、つまり前から4列目というかなりコースに近い席を確保しました。実際、インディアナポリス独特のYard of Bricksも間近に見えるなかなかの位置でした。このレースでは1周の平均速度が220MPH、350km/h以上にも達しますが、その新幹線よりもさらに速いレースカーにその距離では、私の動体視力ではまったく追いつくことができませんでした。やはりロードコースのデトロイトとは大きな違いがあり、それを体験できただけでも観に行った甲斐があったというものです。

レース距離は500マイル、つまり約800kmにもなるわけで、F1の倍ほどもあります。一方、サーキットは一周2.5マイルなので、ちょうど200周のレースとなります。800kmとか200周とか聞くとどれだけの時間がかかるのか、途中で飽きてしまうのではないかと思いがちですが、実はスピードが非常に高く、また目まぐるしく順位が入れ替わるので思っていた以上に目が離せず、短く感じました。実際のレース時間はちょうど3時間ほどですから、1周あたり1分もかかっていないわけです。
Indy 500
全体的なレースの流れとしては序盤にいくつかのアクシデントがありましたが、中盤130周ほどのあいだはフルコースコーションにならず白熱したトップ争いが続きました。今回は過去最高の68回ものトップの入れ替わりがあったということですが、非常に激しい闘いが繰り広げられていたため、クラッシュがなくともダラダラしたものには感じなかったわけです。しかし結末はちょっとすっきりしないものでした。残り13周でイエローコーションとなったあと、再開直後のラスト3周で再びクラッシュがあり、そのままイエローコーション中にレースは終了、再開からクラッシュまでの僅かな間にトップを奪ったTony Kanaanが優勝という幕切れになったのです。38歳のこのベテランは観客の間では一番人気があるようで彼が先頭に出るたびに盛り上がっていましたし、インディ500初優勝ということだったのでまあ良かったのかもしれません。

今回ポイントリーダーで迎えた佐藤琢磨は予選18位スタートとなりいい位置とは言えませんでしたが、序盤に調子よくポジションを上げ、一時は6位にまで上ってきていました。しかし残念ながら57周目に単独スピンを喫し、クラッシュは免れて復帰はできたものの周回遅れに沈んでしまいました。その後再び順位を上げてきていましたが、最終的には13位でフィニッシュするのが精一杯というところだったようです。とはいえ、リタイアせずに着実にポイントを得られたのは大きいのではないでしょうか。

ということで、琢磨ファンとしては少々残念な結果に終わってしまいましたが、レース自体も思っていた以上に楽しむことができましたし、この一大イベントをお祭りとして楽しんでいるアメリカ人に混じってくることができたのもいい経験でした。実は来週末のデトロイトGPにはまた行くことになっているので、今度こそトップ争いに混じり、さらにはラップをリードしてフィニッシュする琢磨の姿を見たいと思っています。今年の琢磨ならそれも期待し過ぎではないでしょう。