Detroit Chevrolet Belle Isle Grand Prixあまりにミシガンらしい落ちに苦笑。

日本の一般の人にとってモータースポーツというとF1くらいしか頭に浮かぶものはないのではないかと思いますが、こちらアメリカには実に様々なモータースポーツがあり、それぞれ多くの人達からの支持を受けています。やはり筆頭に上げられるのはIndy 500で有名なIndycar Seriesかと思いますが、その他市販車の形をしたカウルをかぶせたNASCARや、直線での加速だけをひたすら追求するDrag Racing、巨大なタイヤを履いたトラックでタイムや技を競うMonster Truckなど、実に様々なものがあります。さらにはモータースポーツの範疇に入れるべきなのかどうか分かりませんが、Power Boat RacingAir Raceなんていうものもあったりして、こういったアメリカならではのものにはできるだけ触れて帰りたいと思っているところです。

ということで早速ですが、先週末はデトロイトのBelle Isle ParkというところでDetroit Chevrolet Belle Isle Grand PrixというIndyのレースがあったので家族で観戦に行ってきました。Indyというとまず思い浮かぶのが大きなバンクの付いた競技場のトラックのようなコースをただぐるぐる回るものですが、このBelle Isle GPは普段は公園内の道路となっているところをコースとして使用するいわゆる公道レースで、大小様々な左右コーナーの組み合わされた一般的なレイアウトになっています。

私たちは決勝が行われる日曜日に観に行ったのですが、駐車場を探して回るのが嫌だったので朝7時過ぎに自宅を出て朝食を買いに行き、そのままデトロイトに向かって駐車場に到着したのは8時過ぎでした。さすがにその時間帯はガラガラでしたが、そこから乗ったシャトルバスはほぼ満席でした。朝早くから熱心な人達はいるものです。サーキットに着いてみると2シーター車による体験走行のエンジン音が響いていて徐々に気分も盛り上がってきます。
Takuma Sato
11時前後にはIndyのウォームアップ走行があり、その後12時頃からは市販車ベースの車両のGT/GTSカテゴリーによるPirelli World Challengeの決勝戦が行われました。このレースはポルシェキャデラックが速く熱戦を繰り広げていましたが、その後方ではアクシデントも多く度々ペースカーが入り、結局最終周もペースカーに先導されたままチェッカーフラッグを受けるという冴えない終わり方になってしまいました。しかし、私たちの席は第一コーナー出口のスタンドにしたので、なかなか迫力のある走りを見ることができました。

3時を過ぎるといよいよIndyの決勝です。様々なセレモニーのあと、ピットからパレードラップに出て、そのままローリングスタートというのがF1とはちょっと違うところです。F1ではスタート直後最初の第一コーナーの進入というのが最初の山場になり、アクシデントも多発するところですが、Indyではそういうことはありません。しかし、やはり各車の間隔がまだ狭いので迫力があるのは間違いありません。そのごじわじわと差が開いていき、やがては周回遅れが出てきますが、しばらくは大きなアクシデントもなく順調にレースは進んで行きました。が、そんな中で去年までF1で走っていたRubens Barrichelloは車両のトラブルで静かにリタイアしていました。

ところが、90周の予定のレースのほぼ半分が終わる44週目、James Hinchcliffeの乗るマシンがコントロールを失い側壁に激突、その直後に我らが佐藤琢磨も縁石に乗り上げた後クラッシュしてしまいました。それだけならまだ「あーあ」で済むところなのですが、何とそのまま赤旗中断、理由は「路面の溝を埋めていたゴムが剥がれたから」ということでした。映像をみるとかなり大きなゴムの塊が路面に横たわっていましたから、確かにこれはかなり危険です。一体どうなるのかと思ったら、速乾性のボンドのようなものを埋めるので25~30分程度で硬化するとのこと。結局なんだかんだでレース再開までには2時間ほども待たされてしまい、さらに周回数も60周に短縮されてしまったため残り15周のみとなってしまいましたが、まあ再開できただけ良かったかもしれません。再開後も2度のリスタートがあってフルスピードのバトルはわずかでしたが、リスタート時の混戦模様はひときわだったかもしれません。

中断中のドライバーへのインタビューでも「デトロイトの道路だから仕方ないね」というようなコメントがあり、観客もどっと湧いていましたが、実際ミシガンの道路は酷いものなので実にミシガンらしいレースだったとも言えます。しかし今回は特に直前のIndy 500で最終周までトップ争いを繰り広げつつクラッシュして沈んでしまった佐藤琢磨の活躍を楽しみにしていたのですが、それも残念な結果に終わってしまいました。リタイアした時には7位まで上がっていたので期待していたのですけどね。なかなか思ったようにはいかないものですが、近いうちにまた応援に行きたいと思います。