今月の映画の日はTim Burton’s Corpse Brideを観てきました。

Tim Burton監督によるこの作品はストップモーションアニメの手法で作られたもので、最近のCGアニメに慣れてしまった私は何も知らずに予告を見た時にはまたCGか、と勘違いしてしまったのですが、実写ならではの豊かな質感が作品に一層の深みを与えています。もちろんCGによる後処理は加えられてはいるものの、基本的に手間のかかる撮影手法になるので上映時間も77分と短かめですが、かえってダラダラと間延びすることなく魅力が凝縮されているのではないかと思います。

主役であるビクターの声を演ずるのはJohnny Depp、死体の花嫁はHelena Bonham CarterというCharlie’s Chocolate Factoryでも共演している2人です。JohnnyはScissor Hands以来Tim Burtonとのコンビが続いており、またHelenaはTimと私生活でのパートナーということらしく、まさしく強固な信頼関係の上に作られた作品のようです。

ストーリーはファンタジックで童話的なもので、見終わったあとで暖かい気持になれるものです。魚売りの成金の息子であるビクターが、互いに会ったこともない没落貴族の娘ビクトリアと、互いの両親の利害のために結婚させられようとしている時、森の中で挙式の練習をしていて枯れ枝と思って指環をかけたのが実は死体の花嫁の指だった、ということで騒動になります。その後はあっと驚く展開があるというようなわけではありませんが、笑いあり涙ありのストーリーになっています。

映像的には、地上の生者の世界がグレー基調でさびしく重苦しいものとして描かれているのに対し、死者の世界は明るくカラフルで実に生き生きしていて、楽しげなものになっています。これを逆にしてしまうと死者の世界が生々しくなってしまい、ホラーのようになってしまうのでしょう。死体の花嫁も肌の色は青く頬の肉が削げ、目玉が取れたり片手片足が骨むき出しだったりしますが、それでも美しく見えてしまうのは一種のマジックのようなものかもしれません。

私がこれまであまり観ることのなかった作品のような気がしますが、評判に違わず素晴らしい作品だったと思います。観るまではそんなに絶賛されるというのはどれほどのものなのか、と半ば懐疑的だったのですが、観てみて納得することができました。SFやアクションばかりでなく、たまにはこういう作品で心の平安を得るのも悪くないな、と感じました。

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