Windows VistaコードネームLonghornとして開発が進められてきたWindowsの次期バージョン”Windows Vista“ですが、度重なる延期で本当にリリースされるのかどうかさえ怪しく感じられたこともあったものの、一応コンシューマ版は2007年1月にリリースされることになっているようです。それに向けて着々と準備も進められているわけですが、先日公開されたユーザが持つPCでVistaが利用できるかどうかを診断するというWindows Vista Upgrade Advisorに続き、VistaのBeta 2日本語版が一般ユーザ向けに公開されました。さすがに多くのユーザが詰めかけたようでダウンロードサイトはアクセスが集中してダウンロードのリンクを表示させるのも大変でしたが、なんとかURLを得たあとはwgetを使って1時間程度でダウンロードを完了することができました。サイズは3.32GBもあり、これが1時間ということは1Mbps近く出ていることになりますから、帯域は十分に確保できているようですがサーバの処理能力が追いついていないということでしょうか。ダウンロードできるのはISOファイルなので、これをDVD-RWに焼いてHDDの空いているところにさっそくインストールしてみました。

ダウンロードするにもなかなか苦労したのですが、DVDができたあとのインストールもまた大変でした。これまでのWindowsもPC-Unixなどに比べるとインストールに時間がかかり、途中何度も再起動しなければならないなど手間がかかるものでしたが、今度のVistaもそれに拍車がかかってこれまで以上に時間がかかってしまいました。とはいえ途中で必要な操作はごくわずかで、あとはただひたすら待つだけになるので難しいことは何もありませんでした。

夜10時過ぎからインストール作業を始めたのですが、1回再起動したあとでプログレスバーが一向に進まなくなってしまったので12時頃しびれを切らし、私は寝てしまってその間に勝手に進んでもらうことにしました。しかし2時頃ふと目を覚ましたので様子を見てみると、何とインストーラのくせにスリープに入っているではないですか。そんなことがあるとは思ってもいなかったのでびっくりしてしまいましたが、キーを押してみると起き上がって何事もなかったかのように再開していました。朝になって起きたときにまた寝ていたら嫌だなあ、と思いながら私はまた眠りにつくことにしましたが、確かに朝もスリープに入っていたものの、インストール自体は終わっていたのでホッとしました。

インストールが終わったVistaをさっそく使ってみると、ディスクアクセスのランプが付きっぱなしで非常に重くて驚いてしまいました。RAMを512MBしか積んでいないせいで軽いスラッシングに陥っているのだろうか…と不安になりましたが、どうやらディスクのインデックスを作成していたらしく、しばらく経つと落ち着いて動作も軽くなりました。

Upgrade Advisorでも私のPCのグラフィックカードもぎりぎりサポートできるということだったので、Vistaの売りの一つであるAeroという新しいUIも試してみました。ほとんど機能的な意味はなく、ただ単に派手になるだけのような気もしますが、新しもの好きで派手好きな私にはなかなか魅力的なアピアランスで、Windows XPのLunaに戻ってみるとそれが地味に感じられるくらいです。しかし、Vistaでは描画にこれまで以上にGPUを利用するようになってCPUの負担を軽くしているということで、見た目の変化の割には動作が著しく遅くなるというようなことはありませんでした。またCPUやGPUの能力が不足する場合には透明化などの効果を省略することもできるので、XPよりも重いと感じるようなことはあまりないのではないかという印象です。

他の目玉の一つとされているものに”Gadgets”と呼ばれるデスクトップアクセサリを置くことができる”Sidebar“というものもありますが、Konfabulator改めYahoo! WidgetsやMac OS X 10.4のDashboardGoogle DesktopのGadgetsなどメジャーどころからも相次いで類似のものがリリースされているので目新しさはなくなってしまいました。しかしこれが標準装備であるということは、Yahoo!Googleにとっては驚異となることでしょうね。

もう一つ、Microsoft自慢の新フォントメイリオと、このフォントと共にAnti-Aliasing技術のClearTypeが日本語でも使えるようになったということが日本人にとってはちょっとした注目点ではないでしょうか。確かに視認性に優れたUIにはピッタリのクリーンなフォントで、私は個人的に大いに期待していたものですが、それを裏切られることはありませんでした。小さいサイズでもつぶれてしまうことが無く読みやすく、大きなサイズでもバランスを崩さない、素晴らしいデザインだと思います。大変気に入ってしまったのでこのフォントをXPの方にも持ってきて使ってしまうことにしましたが、ライセンス違反のような気もしないではないので他の方にはお勧めしません。

ベータ版ということで安定していないのではないかと危惧されるところですが、ちょっと使ってみた感じでは満を持してのリリースということかWindows 2000のRC1の時よりも遙かに不具合は少なそうです。今のところ不都合があったのはAdobe Readerをインストールしたときにデスクトップに作られたアイコンのオーナーがSystemになってしまっていて、Administratorのアカウントでも削除できないということです。何か方法はあるのかも知れませんが、普通に操作しようとすると認証をSystemに求めているような画面になってしまい操作ができなくなってしまいます。とりあえずCTRL+ALT+DELETEで割り込んで復帰することはできますが、アイコンが消せないのは困りものです。FirefoxThunderbirdのアイコンは問題なく消すことができたのですが。

ということで、さすがに新しいOSは洗練されたLook and Feelを備えていて、使っていて楽しいものです。今回のベータ版でもウェブブラウジング程度では特に問題はなく、十分に実用に耐えるのではないでしょうか。しかし、デバイスドライバのサポートというのは新しいOSの場合いつも問題になりますので、日常の環境を全てVistaに移行するとなるとなかなか大変かも知れません。その抵抗感を排除できるほどの魅力を備えているのか、またそれをアピールすることができるかどうかが大切なポイントとなるでしょう。

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