Flightplan何だか映画を見るのは久しぶりのような気がしてしまいますが、どういう訳かかなり気に入っている人とつまらんと言う人と評価が二分されている映画「フライトプラン」を観ました。

フライトプラン
フライトプラン

posted with amazlet on 06.08.19
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2006/05/24)

先日飛行機に乗ったところなので機内の様子などは映像で描かれていない部分についても自分の記憶で補完することができ、妙にリアリティーを感じることができました。この作品のほとんどの時間の舞台となっている架空のE-474というのは世界最大のジェット旅客機ということになっており、3-6-3という信じられない座席配置になっているようなのですが、さすがに6列も並んでしまうと中央部の人はトイレに行くのも大変ですし、万一の場合の避難にも問題がありますので非現実的でまずあり得ません。かといって中央部にも通路を設けて2-3-3-2にしてしまうと3-4-3の場合と座席数が変わらなくなってしまい無意味ですね…なお、私が太平洋航路で乗ったのはB-747-400ですが、E-474という番号は明らかにこれを意識したものですね。

さて、主演はJodie Fosterで「必死に娘を守ろうとする強い母親」を熱演していますが、さすがJodieほどの大女優になるとこれ以上ないほど娘に対する思いが伝わってくる素晴らしいというのも失礼な演技ですね。機長のSean Beanはどうもどこかで見たような気がして落ち着かなかったのですが、威厳たっぷりな、しかし判断を迫られたときには苦悩も伺わせる最高責任者にピッタリではなかったかと思います。

この映画、イントロが妙に暗い雰囲気の映像になっていて、しかも説明がほとんどなく暗示的なシーンばかりなので一体何が起こってどういう状況なのか中盤までわからない部分があったのですが、全体的なストーリーにとって実はそれは大して重要なことではなく、結構シンプルな筋書きになっていました。夫を自宅の屋上からの転落死で亡くした女性航空機設計者と娘が夫の棺と共にベルリンからニューヨークに向かう飛行機の中で、眠っている間に娘が行方不明になり必死に探そうとするものの乗客名簿に娘は載っていないなどでもともと娘は載っていないのだと妄想扱いされてしまう…というものなのですが、「『小さい子供を連れた乗客から搭乗』ということで最初に乗っているはずなのにそれはどう説明するのだ」という疑問が頭から離れず、種明かしでは「ああやっぱりね」という感じで今一つ楽しみきることができませんでした。

結局評価が真っ二つに割れるのは「これはお話だから」と割り切ることができるかどうかにかかっているからなのかもしれません。しかし、航空機を狙ったテロが増えかなり現実味を帯びている昨今、飛行機を舞台にしたサスペンス作品に要求されるリアリティーはかなり高度なものになっているのではないでしょうか。実際の飛行機1機分ほどの巨大なセットを組むなど映像面でのリアリティはかなり追求されたようですが、ストーリーにはもう少し入念な作り込みが必要だったのかもしれません。まあ、考えすぎずに気楽に楽しめば、娯楽作品としてはそんなに悪くないとは思うのですが…

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