釣りもう二度とこの世界に足を踏み入れることはないでしょう。

私の自宅近くには屋外の市民プールがあり、夏の間は毎年何度か遊びに行っています。しかし、プールの営業期間は年に2ヶ月ほどしかありませんから、一年の大部分は施設が遊んでしまっていることになります。それではもったいないということで自治体もいろいろ考えているのでしょうが、その市民プールではオフシーズンの間、50mプールを釣り堀にして営業しています。プールで釣りというのもなんだか侘しい感じがしますし、その釣り堀で夏は泳ぐのかと思うと妙な感じもしますが、案の定あまり賑わってはいないようです。

しかしつい先日、地元の地方紙である神戸新聞でこの釣り堀が紹介されたらしく、それを見た次男が行きたい行きたいと騒ぐので、長男が学習塾に行っている間に妻と3人で行ってみることにしました。新聞に載ってしまったりしたら混み合っているのではないかとも思いましたが、神戸新聞の読者はそう多くはなく、特に小さな子どもがいるような人は少ないのでそんなことはないでしょう。

実は私自身の釣りの経験は小学生の時に一度だけ、しかも魚がいるのかどうかもわからないような二子玉川の細い流れで竿を垂らしただけで、結局一匹も釣れずじまいなのでほぼ皆無と言えます。これまで人に聞かれる度に「自分は短気だから無理」と言ってきたのですが、できない理由がそれだけではないということを思い知らされました。

今回のプールでやっている釣り堀はあくまで子供や初心者向けで、プールの中に放たれているニジマスを1000円で借りた竿で釣るというもので、一緒にもらえる餌はなぜかトウモロコシの粒でした。生き餌を針に付けるのが苦手という人もいるようですが、トウモロコシなら針を指に刺してしまわないよう気を付けるだけで大丈夫でしょう。なお、1000円で釣れるのは3匹までで、4匹目からは1匹につき200円追加、釣った魚の持ち帰りは不可でその場で焼いて食べることになっていました。

釣りたがったのは次男なので、竿は次男に持たせて早速釣り始めましたが、大体10分程度で1匹釣れるような感じだったでしょうか。さすがに何の苦労もなく竿を垂らしているだけで釣れるものです。しかし問題はその後でした。何しろ私達夫婦には釣った経験は全く無いので、魚の口から針を外すのに一苦労どころではありません。魚は私の方を見て早く外してくれという顔をしているし、痛みでジタバタするし、モタモタしているとそのうち血が滲んでくるし…無理やり剥ぎ取るなんて言うことはとても私にはできず、一匹目は結局隣にいたお父さんにお願いしてしまいました。二匹目の時にはもうその人はいなくなってしまったのでしばらく格闘しましたが、結局私にはどうにもならず妻に任せることに。何とも情けない話ですが、私にはとても無理です。

その後はもう後ろに下がって見ているだけにしましたが、こういうことが平気な人が羨ましいです。もともと映画やテレビの残虐シーンや手術シーンなども苦手なのですが、魚もやっぱり痛みを感じているでしょうから、それを想像してしまうとクラクラしてしまいます。魚はまだ鳴かないからマシかもしれませんが、これがもし鳴き声を出す生き物だったらその場にいることも無理でしょう。

結局釣った魚はその場で捌いてもらってから塩焼きにして、美味しいと言いながら食べているのですが、まだ生きて動いているものと料理として出てくるものとは全く別物です。何だか身勝手な気もしないではありませんが、こんなことには何とも思わない釣り好きの人なんて世の中にはたくさんいるのですから、こういうことは得意な人に任せておけば良いことですね。