Hondaついにと言うべきか、ようやくと言うべきか、第3期と言われる2000年からのホンダF1参戦において初めての、また同年F1デビューを果たしたドライバーのバトンにとっても初の優勝を目にすることができました。一昨年などはコンストラクターズ2位、ドライバーズ3位とランキング的にも非常に惜しいところまで来ていただけに優勝が切望されていた両者でしたが、長い道程を経てようやく第1の通過点に辿り着いたというところでしょうか。

さて、今回のハンガリーGP、フリー走行でアロンソ、ミハエルの両トップドライバーがそれぞれ2秒のペナルティを予選タイムに加えられるということになり、どちらも予選第2ステージで脱落するという波乱の幕開けとなりました。ここでポールポジションを獲得したのは徐々に調子を上げてきているライコネンで、この時バトンは4位のタイムを出すものの、エンジン交換によるペナルティでスターティンググリッドは14番ということになってしまいました。

本戦は最近珍しくなったような気がするウェットレースとなり、これまた非常に荒れた展開となりましたが、最初に脱落してしまったのはまたしても山本左近でした。第1コーナーでブレーキを遅らせすぎてエンストしたということらしく、未だに決勝オープニングラップを周回できていないというのは本人もとても悔しいことでしょう。

後方スタートとなったアロンソとミハエルは他車と何が違うのか不思議なくらいのペースの違いでぐんぐん順位を上げ、あれよあれよという間にアロンソはトップに踊り出てしまいました。ミハエルも4位までは順調に上がってきていたのですが、そこからのペースが伸びずアロンソに先行を許した後は全く冴えない走りになってしまったのはタイヤと路面状況の相性によるものでしょうか。それにしてもこの時のアロンソの速さはとても同じカテゴリーの車とは思えないほどの圧倒的なもので、特にミハエルをパスした時はアウトコースからいとも簡単に抜き去ってしまいました。

その後ライコネンが何と周回遅れのリウィッツィに追突して大破してしまうというアクシデントなどもあり、アロンソはそのままトップで周回を重ねていたのでこのまま優勝してしまうのかと思われたのですが、刻々と変化する天候と路面のせいで各車のペースも目紛しく変わり、いつの間にかバトンがアロンソを上回るペースで2位に上がっていました。

路面が乾いてくると徐々にミハエルのペースも上がってきていた中盤、ピットに入ったアロンソはタイヤ交換のミスから片輪にトラクションがかからない状態となったのか、コーナーでタイヤバリアに突っ込みリタイア、ノーポイントで終わることになってしまい、ミハエルにとってシリーズチャンピオン奪回の大きなチャンスとなりました。しかしながら終盤、残り3周ということろでミハエルもスローダウン、ピットでレースを終えることになってしまいました。

こうして上位3人のドライバーが次々と消えていった中、強敵がいなくなって余裕の周回を続けたバトンが悲願の初優勝をゲットすることになったわけです。タナボタ的勝利ということにはなりますが、この悪条件の中でそれなりのペースで完走を果たしたということは単に運だけのものではないので、私は素直に祝福したいと思います。

琢磨も途中順位を上げ下げしながら粘りの走行を続けてSA06で初の完走を遂げることができました。ある程度の信頼性は証明できたということで、今後のレースで徐々に実力を発揮してくれるものと信じたいと思います。次回トルコGPでSA06は完成するということですから、本来のパフォーマンスがどれほどのものか、見るのが楽しみです。

それにしてもF1で君が代が流れるというのはなかなか感慨深いものがありますね。去年であればイギリスを本拠とするBAR HondaだったのでGod Save The Queenだったわけで、それでは日本のチームが勝った、という実感も薄かったのではないでしょうか。コンストラクター代表として表彰台にはちょうど観戦に訪れていた本田技研の福井社長が登りましたが、これも単なる偶然ではなくチームの士気が上がったというような影響も多少なりともあるでしょうね。

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