私が就職した30年ほど前は、ちょうどバブル経済の末期でした。雇用も完全に売り手市場で、就職活動というのも今とは全く違う状況でしたが、そもそも私は大学の推薦枠を利用したのでろくに苦労もせず入社してしまいました。その後の就職氷河期などに大変な思いをした人たちには申し訳ないくらいです。そんなことなので、履歴書くらいは何度か書いたことはありますが、現在の就職活動の必須アイテムであるエントリーシートなるものは当時も一般的ではありませんでしたし、書き方もよくわかりません。
そのエントリーシートによる書類選考を、ロート製薬は2027年度入社の新卒採用から廃止すると発表しました。その背景として説明しているのが、「生成AIの普及で内容の均質化が進み、従来の方法では一人ひとりの本質的な個性を十分に捉えきれないと感じていました。」ということです。エントリーシートの作成に生成AIの力を借りるようになったせいで、本来選考のために必要な個性が見えにくくなってしまい、優劣が付けづらくなったということでしょうか。
そもそもエントリーシートだけで有効に選別できていたのかどうかもよくわかりませんが、確かに誰もが簡単に生成AIの力を借りることができるようになってしまった現状では、さらに意味をなさなくなってしまったというのも事実なのでしょう。ある程度技術が必要なものであれば、生成AIを使いこなすことができるということ自体もアピールになったのかもしれませんが、今はすでに普通の大学生であれば問題なく使えてしまう状況でしょう。
こうして生成AIの登場と一般化によって、これまで培われてきたものが途端に意味のないものになってしまうということはこれまでもあったでしょうし、これからはますます増えていくのではないでしょうか。各社の採用担当者も時代ごとに苦労されているのではないかと思いますが、今回は15分間の面談によって一次選考するとのことで、かなり時間を要することになってしまいそうです。このエントリーシート廃止の動きには他社も追随していく可能性がありますが、代わりにどうするかというところはしばらく模索が続きそうですね。

