R402008年最初の大モノ

私の自宅の辺りは今週になって急に冷え込むようになり、本格的に冬がやってきたと実感できる寒さになってきたのですが、ここ数年の12月は10年ほど前には降雪も見られたというのが嘘のように温暖な気候になってしまいました。これも地球温暖化の影響なのかと思ってしまうわけですが、この言葉もすっかり定着し5歳の次男までもが生意気に口にするくらいになってしまいました。

温暖化の一番の原因は温室効果ガスの増加と言われており、京都議定書の採択など温室効果ガスの排出を減らす動きがあるわけですが、直接的な取り組みとしては熱帯雨林の伐採による二酸化炭素吸収量の減少を防ぐための古紙リサイクル、再生紙の利用というものがあります。環境問題に配慮しているということのアピールにも繋がるため、再生紙を使用している、ということが企業のイメージアップになるためか、最近は多くの製品で当然のように再生紙が使われるようになってきました。

再生紙と一括りにいっても、その古紙配合率には非常に広い幅があります。古紙100%を謳っているものもあれば数%含まれているだけのものもあったりするのですが、2008年の年賀はがきには本来40%の古紙が含まれていなければなりませんでした。ところが、実際に使われていた紙には古紙がわずか1%しか含まれていなかったということで、生産・納入していた日本製紙は社長が辞意を表明したり、業界全体が全く同じであることが明るみに出るなど大きな騒ぎになっています。

何となく古紙を使った方が原材料が安上がりで低コストなのではないかと考えがちですが、実際は古紙を再生紙に使えるよう加工するためなどに費用がかかり、ある程度以上配合率が高くなると再生紙の方が高くついてしまうことになるようです。また中国などの古紙需要の急増で古紙自体も価格が上昇しているということもあるそうです。また、上質な紙を作るためにはやはり新しいパルプを使用しなければならないということで、今回の偽装も40%の配合率では品質を満足できる紙を作ることができなかったというのが原因ということらしいです。

しかし、日本製紙は「コンプライアンスよりも品質を優先してしまった」などと言っているようですが、「品質」というのは「どの程度要求を満足しているか」という指標なので、古紙配合率40%というのが受注時の取り決めなのであればこれを守れないということは即ち品質を満足していないということになります。作った紙の上質さというのも品質要件の一つではありますが、コンプライアンスの問題ではないのです。また、40%の配合率では品質を満足できなかったということについても製造コストや開発コストをかければ満足できないことではないと思いますし、新パルプを使うことで結果的に安く上げていたことになりますから、立派な詐欺的行為と言えるのではないでしょうか。また結局、環境問題に取り組んでいるなどというのはポーズに過ぎないどころか嘘だったわけです。

今回の件については報道を見ていてもどうも他人事のような空気を感じてしまうのですが、これは消費者にとって直接的な被害がないためなのか、それとも昨年から続く一連の偽装問題で慣れてしまったのか、あるいは飽きてしまったのか、どうなのでしょうか。去年の漢字が「偽」だったわけですが、今年も引き続きボロボロ似たような問題が出てきそうな気がしてしまうのは私だけでしょうか…