三鷹の森ジブリ美術館愛が感じられます。

皆さんはアニメと言えばどのようなものを思い浮かべるでしょうか。オタクな方々の間ではアニメの世界が異様な広がりを見せているようですが、そうでない人々にとっては夕方の時間帯にテレビで放映されている子供向けのシリーズ物か、劇場で上映されるアニメ映画ではないでしょうか。最近はハリウッド映画などでもCGアニメ作品が増えてきていますが、それらとは一線を画しつつ圧倒的ともいえる存在感を見せつけているのが一連のジブリ作品です。

宮崎駿氏率いるスタジオジブリは1・2年に一作ほどの割合で長編作品を公開していますが、近年はどの作品もヒットランキングの最上位を占める人気ぶりです。私自身はそれほど好きなわけではないのですが、アニメーションに対する情熱のようなものはひしひしと感じられますし、以下に観客を楽しませ満足させるかという点について妥協や手抜きが一切感じられないのは素晴らしいと思っています。もちろん作品自体の映像も他の追随を許すものではありませんし、脚本も大変練りこまれていて一流のものです。

そのスタジオジブリの各作品をテーマにしてその世界観を楽しむことができる「三鷹の森ジブリ美術館」というのが井の頭公園の脇にできたのは2001年のことです。入館時間も2時間おきに指定しての完全予約制となっていますが、開館当初は発売直後に売り切れてしまうほどの大変な人気で見に行くのも大変だったようです。現在ではだいぶ緩和されているようですが、それでも予約制というのは思い立ったときに行くというわけにはいかずちょっと敷居が高く感じられてしまいます。しかしこの夏の帰省に合わせて、実家の母が弟家族の分とあわせてチケットを取ってくれたため、みんなで見に行くことができました。

館内は写真撮影が禁止されているのが残念ですが、宮崎駿氏のスケッチに基きデザインされたという建物は外から見ても中に入っても、まさしくジブリアニメに出てきそうな夢のあるものになっています。小さな子供たちにとってはジブリの世界に入り込んだように感じることができることでしょう。入館者は小学校低学年あたりまでの子供を連れた家族と、欧米やアジアからの外国人が目立っていたように思いますが、中世ヨーロッパあたりの建物を基本イメージとしているような気がするので、その外国人の目にはどのように写っているのかちょっと興味があります。

館内の展示はアニメーションの仕組みをゾエトロープなどを用いて説明する部屋、アニメ制作の現場を再現した部屋、大きなネコバスのぬいぐるみで遊ぶ部屋などなどがありますが、ネコバスには小さい子供で長い行列が出来ていました。個人的には様々な種類のゾエトロープが見られたのが興味深いところでした。

館内には土星座という小さな映画館があり、入館者は一回だけ短編映画を楽しむことができます。今回観ることができたのは「やどさがし」という作品で、擬音をそのまま文字として画面に表示したり、その擬音をすべて人の声で表現したりしていて実験的な雰囲気もあるものでした。なおその擬音はタモリが、主人公の声は矢野顕子が担当しています。

屋上には庭園があり、その中に「天空の城ラピュタ」に出てきたロボット兵が展示されていますが、あいにくの雨だったのでゆっくり観ることができませんでした。涼しい季節の晴れた日には気持ちのいい空間になっているのではないかと思います。

ミュージアムショップの商品もかなり充実していて、ファンにはたまらない空間なのではないかと思いますが、混雑ぶりも美術館のミュージアムショップとは思えないもので、私はゆっくり見る気になれませんでした。とはいえ、これがもし「スター・ウォーズ」の美術館だったとすれば私はきっと何時間でも見ていることでしょうから、単に関心の度合いによるのではないかと思います。また、ジブリグッズ満載のショップですから、特にファンでなくてもかわいいグッズには目を奪われる人も多いでしょう。

ということで、やはり子どもが中心となってしまう施設ではありましたが、ジブリファンを自認する人であれば一度は訪れておくべきなのは間違いないでしょう。入館が容易ではないので、ショップは外にもあると嬉しいのではないかとも思いますが、入らないと買えないというのもポイントなのかもしれません。なお、中にあるカフェもなかなか良い雰囲気に見えましたが、今回は行くことができませんでした。子供連れにはあまり向かないかもしれませんが、大人がゆっくりするには良い感じのようなので、これもまた外にあればという感じです。