青森旅行2日目のランチは、今回の最大の目的である大間のマグロ丼でした。
青森県の大間はマグロの産地として知られていますが、その大間のマグロを提供するお店が下北半島の北端にあたる本州最北端・大間崎周辺に集まっています。大間崎のすぐ南に町営の無料駐車場があるので、車で来た人はそこに停めることになるでしょう。もともと目指していたのはこの駐車場に隣接している「あけみちゃん号」というお店だったのですが、残念ながら満席で、そのあけみちゃんに「同じマグロを使っているから」ということで勧められた「民宿海峡荘」の方へと行くことにしました。なお、後で聞いたところによると、こちらはあけみちゃんの弟さんが営むお店で、仕入れは一緒にしているということでした。
5月の終わりだというのに気温が10℃ちょっとしかない寒い雨の日だったので、駆け込むようにお店に入ったのですが、メニューの中からずばりマグロ丼を選んで注文すると、程なくして美しい丼が提供されました。神々しさすら感じられて手を付けるのが惜しいほどでしたが、ひとしきり写真を撮ったところでいただきました。
大トロが4切れ、中トロと赤身がそれぞれ3切れ、温かい白ごはんの上に乗っているだけのシンプルな料理ですが、そのシンプルさゆえに素材の美味しさが引き立つというものです。普通、マグロには独特の臭みがあるものだと思っていたのですが、極めて新鮮だったからか、それがまったく感じられず、赤身でさえも非常にさっぱりとした味でした。もちろん大トロ、中トロはたっぷり脂が乗っていてとろけるようだったのですが、それもしつこさはなくていくらでも食べられそうで、すべて食べ終わった時に「まだ刺身で一皿食べたい」と思うほどでした。
これはマグロの本当の美味しさを味わうための料理と言っていいはずです。仕入れの時点でほぼすべてが決まってしまっているのだと思いますが、この時期のマグロは一般的に脂の乗りが良くないところ、その中でも美味しいものを見極めて提供しているのだそうです。これはあけみちゃんから聞いた話です。
実はこのマグロ丼をいただいた後、最北端の碑の写真を撮ったり、お土産屋をのぞいたりした後で駐車場へ戻る際にあけみちゃん号の前を通りがかったところ、「コーヒーでも飲んで行って」とあけみちゃんに呼び止められてお店の中で一休みさせてもらったのです。私たちを満席で断ったことを気に留めていただいていたようですが、その後色々お話を聞くことができて、あいにくの天気の中で心温まる交流ができたような気がしました。美味しいマグロ丼だけでも満足していた大間の町でしたが、思いがけないふれあいも思い出に残りそうです。