今から十年ちょっと前、「ポケベル」(NTT DoCoMoの商標)というものが一世を風靡した時期がありました。基本的には予め指定された番号に電話すると、端末が無線で一方的に呼び出されるというもので、英語ではbeeperあるいはpagerと言います。

流行の最盛期には中高校生から大人まで、若者を中心に多くの人が持っていましたが、それ以前はサラリーマン等が会社に「持たされる」だけのもので、遊びとはほぼ無縁のものでした。若者に支持されるようになった理由は、それ以前のものが電話からの発呼によってブザーを鳴動するだけのものであったのに対し、数字列や文字列を送信する機能を持ったからではないかと思います。字種も文字数も限られた数字やアルファベットなどを用いて、いかに効率よく用件を伝えるかが競われ、当時はそのパターンを集めた本なども発行されるような騒ぎでした。

そんなポケベルも携帯電話やPHSの低価格化と、携帯電話に文字メール機能が搭載されるようになったことで居場所を失い、ついに先日、NTT DoCoMoもサービスの打ち切りを発表しました。今のところ鷹山は「マジックメール」の商標でサービスを継続しているようですが、サービスエリアが首都圏近郊に限定されており、ひと時代を築いたポケベルも静かに終焉を迎えようとしているわけです。

アメリカ等ではポケベル事業から進化したBlackberryがメール中心の展開で今もなおサービスを続けていますが、日本でもこのような需要がないわけではないと思います。実際、普段音声通話よりもメール閲覧に使用する頻度の方が高い私にとっては、画面が広くキーの入力しやすそうなこのBlackberryの端末が非常に魅力的に見えます。日本の携帯電話は小さく軽くすることばかりを目指しているようですが、そうでない方向性のものが一つや二つあってもいいのではないでしょうか。特にauのWINの定額サービスなどとは相性抜群ではないかと思うのですが、なかなか一般の日本人の感性には合わないのでしょうか…

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