SUZUKI本業で苦労している三菱自動車が参戦と休戦を繰り返し、トヨタもエアリストリクターのレギュレーション違反発覚以降いなくなってしまい、最近は日本メーカーではスバルだけがワークス参戦し、すっかりフランス勢が中心となってしまったWRCの中で一人気を吐いているような状況でした。しかし、現在開催中のジュネーブモーターショースズキ2008年シーズンからのWRCワークス参戦を発表しました。

グローバルマーケットで大きなシェアを持つ日本メーカーのうち、昔から4WDでは実績を持つとはいえ失礼ながら弱小ブランドと言わざるを得ないスバルだけが参戦しているというのは少々おかしな状況で、日本メーカーがモータースポーツの振興に無関心であると言われても仕方のないことだったのではないかと思います。本来ならトヨタや日産にも参戦を望みたいところですが、スズキはこれまでも下位カテゴリーのジュニアWRCではIgnis(日本名Swift)で参戦しシーズン優勝を果たすなどラリーでの実績も立派なものです。また実はそれだけではなく、自動車メーカーとしてもワールドワイドの販売台数ではすでにホンダを抜いて日本では第3位のポジションを獲得しようとしており、近年の躍進は著しいものです。日本では軽自動車の印象が強いためかブランドイメージはあまり良いものではないかもしれませんが、アジアやヨーロッパではかなり高い評価を得ており、日本でも昨年のRJCカー・オブ・ザ・イヤー日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞「Most Fun」を獲得するなど専門家の間では高い実力が認められているのではないでしょうか。

さて、WRCに投入されるのはSX4で、この車はFIATとの共同開発車であり、FIAT Sediciとは双子の兄弟車ということになります。この車に235kW(320bhp)の2.0Lターボエンジンを搭載するということですが、4000~4500rpmで最高出力を発生するという低回転型のエンジンであるというところが特徴的で、走りの面で他車とどういう違いになって現れるかが楽しみなところです。

2008年シーズンというと随分先の話のような気がしてしまいますが、2007年8月から始まるので今からあと1年半ほど先ということになります。この間にベースとなるSX4の市販車の開発と平行してラリーカーの開発も進められることになるのでしょうが、その成果が何らかの形で市販車の方にもフィードバックされるようなことになると嬉しいですね。グループA時代のような生産台数規定はないのでエボリューションモデルなどは本来は販売する必要もないのですが、Lancer EvolutionImpreza WRXのようなスペシャルモデルの発売もあるでしょうか。実現すればそれなりの価格にはなってしまうでしょうが、ラリーでの成績次第ではそれ自体とともにブランドイメージの向上にも大きく貢献することでしょう。写真を見てみるとかなりかっこいいので、SX4が日本でのハッチバック車の人気を取り戻すことになるかもしれません。

ということで、世界でもっとも有名な鈴木さんを今後も応援したいと思います。

SX4 WRC

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