V17世紀初めの国王ジェームズ1世の統治するイギリスで、国王による弾圧に立ち向かおうとしたGuy Fawkesらにより国会議事堂を爆破し国王と重臣らの爆殺を狙った火薬陰謀事件が計画されました。これは事前に阻止され、Guyは極めて残虐な方法で処刑されることになったそうですが、これにちなみイギリスでは毎年11月5日がGuy Fawkes’ Dayという祭りの日となっています。私も在英中に経験しているわけですが、英国史に疎かった私には全く訳がわからず、単なる花火をして人形を燃やす日という認識しかありませんでした。日本人の私にはその程度のものであっても、イギリス人にとっては極めて有名な歴史の一コマであり、イギリス人で知らないという人はいないでしょう。

第3次世界大戦を経てアメリカを植民地とする独裁国家となったイギリスで、そんなGuy Fawkesの跡を継ぐ国会議事堂の爆破を企む反乱分子”V”と、彼に助けられたことがきっかけで巻き込まれることとなった女性Eveyを主人公とする映画「V フォー・ヴェンデッタ」(Vは復讐VendettaのV)を観てきました。この映画は「全く意味がわからない」と否定する人と、「素晴らしい」と共感する人とに真っ二つに分かれるようですが、私はなかなか重厚なテーマを持つ作品で良かったと思います。

制作・脚本がThe MatrixシリーズのAndy and Larry Wachowski兄弟ということで、The MatrixのようなSFXアクション作品をイメージして劇場に足を運んだ人はおそらく訳がわからずに帰ってくることになってしまうのではないでしょうか。私が観たときにも、エンドロールが始まるやいなや後ろの方から「意味わからん」という声が聞こえてきました。ほんのごくわずかでもGuy Fawkesのことを知っていて、テーマを理解した上で観に行った人は失望するどころかそれなりに高い評価を与えることになるのではないかと思います。

“V”の役はAgent SmithことHugo Weavingが演じているのですが、最初から最後までマスクを付けたままなので知らない人には誰がやっているのかは全くわからないでしょう。しかし、表情を見せずに見事に感情を表現しているのはさすがというほかはありません。最近多くの映画で彼の姿を見るようになりましたが、それはまさに実力によるものですね。

スクリーンに一番映っているのはPadméことNatalie Portmanです。今回は可愛らしいだけではなく、丸刈りにされるなど体当たり的な演技もこなしていて、名実共にハリウッド一流の若手女優であることは間違いありません。「ナタリーがいるから最後まで見ていられた」などとこの映画を評している人もいましたが、彼女なしでこの映画がここまで魅力的なものになったかわからないというのは事実だと思います。まあ、単に私も彼女のファンだからそう感じるだけのことかもしれませんが。

とにかく、一般の日本人には受けそうにないテーマの作品で、実際に私が行ったシネコンではこれだけの大作にもかかわらず、公開から一週間あまりだというのに小スクリーンでの時間限定上映になってしまっていて寂しい限りですが、個人的にはかなり好印象を持ちました。劇中のBGMも幅広いジャンルの曲が使われていて楽しめました。しかし、こういう作品がいいと思う私はやはりマニアックなのでしょうか…世間的には失敗作とされてしまうのでしょうね。そうなると私好みの作品が観られなくなっていくということになってしまいますが…