最近、全国でいじめられて自殺に追い込まれる児童・生徒らが増えていることから、昨年11月に政府の教育再生会議が学校側の指導の強化・徹底を求める緊急提言をまとめ、この時には慎重論に配慮したということで盛り込みを見送られたものの、最終的に今年1月に提出された第1次報告ではいじめ加害児童らの出席停止などの処分が明記されてしまいました。このニュースを聞いて、これでは日本の教育を再生するなんていうのも幻想に過ぎないのではないかと落胆していたのですが、今日の毎日新聞の投書欄を見ていて私はさらにちょっと驚いてしまいました。

「即刻いじめ加害者の出席停止を」と題されたその投書は79歳のご老人からのものなのですが、

子どもを安心して学校に行かせるために、明日からでも出席停止を実施してほしいのである。

だそうです。こういうことを投書してどういう意味があるのかも私にはよくわからないのですが、それはそれとして、79歳にもなろう人生経験豊富な人がそんな目先のことだけに囚われてしまっているということが驚きでした。この人は具体的にいじめに遭っていて学校に通えないという子供が孫など身近にいて言っているのでしょうか。

ある子供が誰かをいじめていることがわかったとして、その子を出席停止にしたからといっていじめはなくなるのでしょうか。別の子供がいじめたり、見付からないようにいじめたり、いじめ方が陰湿になるだけではないのでしょうか。また、出席停止にされた子供が逆に学校に復帰しにくくなったりするということもあるのではないでしょうか。

そもそも子供はなぜ他の子をいじめるのでしょうか。いじめる子供は悪い子なのでしょうか。もちろん、いじめられる側に問題がある、などと言うつもりはありません。いじめる側の子も何か問題を抱えているからこそいじめるのではないのでしょうか。精神的に充実していて幸せな子供は他の子供をいじめたりすることはないのではないでしょうか。私はいじめる側の子供の方こそ心のケアが必要なのではないかと思っているのです。ここで出席停止にするなどというのは全く逆効果でしょう。現に、同じ今日の新聞には同級生へのいじめについて前日に教師に叱責された児童が自殺するという事件まで起こってしまっています。

結びには

しかし時を経ても全く動きは見られない。文科相は首相の指示に従ったのか、教育委員会は通知を握りつぶしたままなのか。いずれにしても看過できぬ事態である。

などと大仰なことが書かれているのですが、この人は一体何をムキになっているのでしょうか。もともとそんなに即効性のある通知とは思えないのですが、どこかでいじめが発覚したからといってすぐに出席停止になどできるわけがありません。もっと冷静に考えてもらえないものでしょうか。

ちなみに私も小学6年の頃、今から思えばいじめだったのかもしれない、というような目に逢っていました。他の子よりも早く脇に毛が生えてきた、というだけの非常に他愛もないことで、それから1年も経てば逆に生えてきていない方が恥ずかしいくらいのことなのですが、人とは違う、ということはいじめの原因となりがちなものです。私自身は「人と何か違うことをしろ」くらいの感じで育てられてきていたので、はやし立てられるのを不快に感じていたくらいで大して意に介していなかったのですが、周囲は気に掛けてくれたようで親や先生が暖かい言葉で守ろうとしてくれていたのを何となく覚えています。私が単に鈍いだけだったのかもしれず、あれでも繊細な子は参ってしまうのかもしれませんが、今の私があるのはそういう経験も多少は影響しているのでしょうね。今では「人と違う」というのは私にとっては褒め言葉ですからね…

関連投稿