CFP511990年のIBM DOS J4.0/V、いわゆるDOS/V以前はPCで日本語を表示するためには専用のハードウェアが必要であったため、日本でパソコンといえば国内メーカー製のものを購入するのが普通でした。RAM上に展開したフォントイメージをグラフィクス画面にソフトウェアにより描画することにより漢字などの表示を実現したDOS/Vの登場により、メーカー製PCに比べ安価ないわゆるPC/AT互換機が日本でも普及し始め、その後のWindows 3.1により国内メーカーPCの優位性がほとんどなくなってしまったため独自規格の日本製PCは衰退し、これに代わってPC/AT互換機が広まることになりました。PC/AT互換機の規格はオープンであるため、機能向上のための様々なパーツも販売され、これを組み込んでカスタマイズする自由度も上がり、さらには始めから自分でパーツを選んで好みのPCを仕立て上げる、いわゆる「自作」も特別なものではなくなりました。

この流れはWindows 95の登場以降も続くことになりますが、その後インターネットとともにPC自体が爆発的に普及し一般の家庭のごく普通の人も購入するようなものにまでなると「自作」というのは敷居が高く、線を繋ぐだけですぐに使えるメーカー製PCが復権することとなりました。現在では「自作」はマニアだけのものになってしまい、当初は安価に仕立てるためのものであったものが、性能にこだわり個性的なマシンを作り上げるためのものに変わってきました。このような変化の中で先日、秋葉原の有名ショップであったPCサクセスが破産するというニュースがあり、自作も終わりかという風潮になりつつあります。

しかし「どうしてわざわざ高くついて面倒な自作PCなど使うのか」というのは、旧いクルマが好きな人に「ヴィッツやフィットの方がまだ速くて安いのではないか」というようなもので、全くの愚問です。今でも自作を続ける人は、それが好きで続けているわけですから、人にとやかく言われる筋合いのものではないでしょう。また、パーツを少しずついいものに変えて性能を向上させることができたり、壊れたパーツだけ交換すれば復活できるというメリットもあるのです。というわけで、私も現在もいわゆる自作PCを使い続けています。まあ、パーツを繋ぎ合わせるだけで「自作」というのはおこがましいような気もするのですが…

さてそんなわけで今回、Windows Vistaへの準備としてSilverStoneCFP51というパーツを買ってみました。これはいったい何なのか、というと、PCにハードディスクを収めるためのケースというかステイのようなものですが、PCの前にある5インチベイ(CDドライブの幅の部分)を3段使って4台の3.5インチハードディスクを収めることができるもので、前面に大きなファンがついているので冷却性もバッチリ、というようなものです。

だいたい普通の人のPCには5インチベイが3段も余っていたりはしないと思うのですが、私が使っているPCは同じくSilverStoneのTJ06というケースで5段もの5インチベイがあり、使っているのは1段だけだったので余裕があるのです。また同じ会社の製品であり、どちらも同じく黒色アルミのヘアライン仕上げになっているので統一感もバッチリです。私はこの製品の発売のニュースを知ってからいいなあというくらいに思っていたのですが、最近思いつきで調べてみると通販で入手できることがわかり、ついうっかり注文してしまったというわけです。

届いた製品は全体が厚手のアルミでできていて、かなりしっかりした作りになっています。さすがに6000円以上するだけのことはありますが、ここで「そんなに高いのか!」と思ったあなたにはきっと無用の長物です。早速PCケースを引っ張り出して取り付けてみましたが、作りはシンプルなのですぐに装着できました。前面にファンが付いているということでその風切り音が気になるところでしたが、それよりもハードディスクのカタカタいうシーク音の方が気になるというのはちょっとうっかりしていました。まあ、そんなに気になるレベルのものではありませんし、これまでケースの奥の方に引っ込んでいたドライブが表の方へ出てきたのだから仕方ありません。

ファンにはお約束とも言える青色LEDが付いていて、電源を入れると前面プレートの奥のメッシュ部分が怪しく青色に光ります。いつの間にか青色LEDが身の回りに増えてきていることに気付き、「それってオタクっぽいのでは」などと今さらながら思ってしまいましたが、まあ目障りなほどまぶしいものではないので良しとしましょう。

ところでなぜこれが「Vistaへの準備」なのかといえば、Vistaをインストールするためにまっさらなハードディスクを使いたいということと、ハードディスクとのバンドルでDSP版を購入したいということ、そしてその新しいハードディスクは十分に冷やして長持ちさせたい、ということなのです。これまで数台のハードディスクをおそらく熱のために不調にさせてしまったので、同じことは繰り返したくないということですね。まあ、メーカー製PCなら排熱もちゃんと設計してあるので気にすることもないのでしょうが…

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