Hoover性能が値段に比例するとは限らない。

アメリカに引っ越すにあたり、日本から持って行って使えるものと、新たに購入しなければならないものとがあります。電気製品では、商用電源の電圧が日本の100Vに対し120Vと若干高くなっているため、内部で降圧されるような電子機器ではそのまま使えるものもありますが、モーターやヒーターを持つものは出力が変わってしまったりするため変圧器をかませて使うことになります。しかし、消費電力の大きな電子レンジやトースター、暖房器具などは容量の大きな変圧器を購入するよりは現地のものを購入したほうが安上がりですし、掃除機の場合は移動しながら使う必要があるので重たい変圧器も一緒に持ち運ぶなどというのは非現実的です。

ということで、掃除機を購入しなければいけないということだったのですが、折角の機会だし日本で買うよりも安いので、と2つのことを考えました。まず、iRobotのロボット掃除機Roombaです。同僚のK君は自宅の掃除をRoombaに任せているということも聞いてそれは良いなあと思ったのですが、実際に私が住むことにした家は2階建て、しかも同じ階にも段差があってRoombaを4台買うかいちいち移動させるかしなければならないのでした。さすがに4台買うなんてバカバカしいにもほどがありますし、手で持ち運ぶなんていうのも本末転倒な気がするので諦めるしかありません。

次に考えたのは性能もさることながらデザインも魅力的なDysonです。しかし日本よりは安価だといっても、それでも他社の掃除機の何倍もの値段になっていますし、それだけ高いなら日本に帰ってからも使いたいと思っても能力が電圧の二乗の比で低くなってしまうということなのでどうしようもありません。日本で買うと高いというのは、日本の狭い市場に合わせてモーターの仕様もカスタマイズしている結果ということですね。限られた任期の間だけ使うというのももったいないので、やっぱり諦めるしか無いのでした。
Hoover Windtunnel T Series
こうして候補が脱落していった結果、それならDysonもどきの安いものでいいや、ということで購入したのがHooverWindtunnel T Series Rewind Plusというもので、Meijerという巨大スーパーマーケットの電器コーナーで$130程度、日本円換算でおよそ1万円でした。日本のような本体からホースが伸びていて、そこに繋がったパイプの先にノズルが付いているというのはあまり一般的ではなく、本体の先にそのままノズルが付いているアップライト型のものが主流なようで、この製品もそうしたものの一つです。しかし途中にはパイプがついていて、このパイプの一端を外して先にノズルを付けると細かいところの掃除ができるようになっています。Rewindというのは日本の掃除機では当たり前の電源コード巻きとり機能が付いているということのようです。

実際に家の中を転がしてみると、目には大したホコリも見えなかったのに、取れるは取れるは、最初に掃除した時には一回でキャニスターがいっぱいになってしまって衝撃的でした。その時は借りる前の掃除がいい加減だったのだろうとも思ったのですが、2回目以降もいっぱいになるほどではないにしてもそれなりにホコリが取れるので、モドキにしてもなかなかの性能と感心しています。日本の自宅でも某社のサイクロン式掃除機を購入して使用していましたが、ダストパックを使わないというだけでいったいどこがサイクロンなのやらという構造で呆れたもので、それとは大違い、良い意味で裏切られました。

まあ、hooverと言えばイギリスでは掃除機のことを指し、掃除機を掛けるという動詞にもなっているくらい、代名詞的存在というのはまさにこういうことを言うのだろうというくらいのブランドですし、掃除機一本で勝負している会社でしょうからそうそういい加減なものは作りませんよね。後はこの性能がいつまで持続するのかという耐久性能の心配がありますが、それもいい意味の裏切りを期待するばかりです。