Adolf Hitler戦後ドイツで初めてヒトラーを題材とした映画で、アカデミー賞の外国語作品部門にノミネートされたという作品「ヒトラー~最後の12日間~」(原題 Der Untergang : 英語名 Downfall)を観ました。

ヒトラーというとどうしてもユダヤ人大量虐殺、いわゆる「ホロコースト」が連想されてしまいますが、この作品の中ではこれに関する描写は一切ありません。描かれているのは敗戦を目前にしたドイツ総統の官邸地下司令部において、ドイツ降伏までの最後の12日間に錯乱していきついには自殺に至るヒトラーとそれに翻弄される幹部らの様子です。

ヒトラーは最終的には独裁制を敷くことになりますが、そこに至るまでのプロセスは民主的かつ合法的なものであったということには注意が必要です。故にドイツ人の間では圧倒的なカリスマであり、市民らも祖国のため、総統のために自らを捧げて戦闘に参加していたという事実があります。こういったあたりの様子がこの映画では克明に描かれているのではないでしょうか。

戦争映画というのはほとんど私は観ないのですが、アメリカ人の描くベトナム戦争のように従軍した兵士の悲惨さといったステレオタイプ化したものではなく、市街戦に巻き込まれる市民の様子や政権中枢部のドラマが描かれているというのは新鮮に感じ、150分という長めの作品ながら引き込まれるように観てしまいました。単なる戦争反対というだけではないメッセージがこの作品から伝わってくるような気がします。

ところで、今回もう一つ実感してしまったのはSU-DH1によるサラウンド効果と臨場感の素晴らしさです。これまで観てきた映画では単に「臨場感が向上」という程度のものだったのですが、この作品では飛んでくるロシア軍の砲弾がどちらから来て、どの方向に着弾したのかということがはっきりわかり、思わず身をすくめてしまいそうになるくらいでした。要塞地下にいるときに地上で受ける砲撃の音もとてもリアルで、買って良かったと改めて感じてしまいました。

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