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人魚の眠る家 (小説)

自分の身に起こることは想像もしたくありませんが。

元エンジニアということで理系的に筋の通った所があるような気がして東野圭吾氏の作品が好きなのですが、最近「マスカレード・ホテル」を読んで以来、その続編に続いて久しぶりにいろいろ続けて読んでいます。もっぱら図書館の書架にあるものを適当に選んでいるのですが、今回借りてみたのは「人魚の眠る家」という作品です。なお、この作品は昨年暮れに映画化されていたようですが、邦画にも感心を持つようになったのがつい最近のことなので気づいていませんでした。

人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)

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プールでの不幸な事故で、朝まで元気に笑っていた我が子が次に会ったときには見た目は変わりないのに自発呼吸のできない脳死状態、というのは子を持つ親としては他人事のように思えず、職場で昼休みに読みながら目頭を熱くしてしまいました。そのような状況で、まだ心臓の動いている子供に対して脳死判定、すなわち死亡宣告を行い、臓器提供に踏み切ることができるのか、私にも全く自信がありません。

本書はそれをテーマにして、周囲の人々との関わりによって変わっていく両親の考え方などを描いた小説です。つまり、東野圭吾による推理小説ではない作品なのです。これまでは東野圭吾といえば推理小説だと思っていたので、本作を読みながらも途中まではこの状況でさらにどんな事件が起こるのだろうと考えてしまいましたが、犯罪のようなものは一切起こりません。

ただ、夢のようなテクノロジーがいくつか登場してそれが鍵になっているですが、それはやはり今のところ夢でしかないでしょう。そんな事ができたら良いと思っている闘病中の方も多いでしょうから、それが実現したら素晴らしいことですが、その場合には新しい問題も生まれるかもしれないということになるのでしょうか。人それぞれ皆良かれと思ってやっていることが、他の人から見ると疑問に感じられるというのはよくあることで、そういうこともこの作品で改めて考えさせられることでした。