Saphira in Eragonこれから面白そうな映画が目白押しでとても楽しみな2007年、最初に観る映画は「エラゴン 遺志を継ぐ者」となりました。

かつて日本ではエルフやドラゴンが登場するファンタジーというのは一部のファンだけのものであまり一般的ではなかったのではないかと思いますが、Harry Potterシリーズの大ヒットやThe Lord of the Ringsの映画化で広く知れ渡るようになり、以前からファンタジーが好きだった私としては嬉しい限りです。この「エラゴン」の映画化もこうした状況の中だからこそ実現したことでしょうが、そもそも原作自体もこれらの影響を受けているのではないでしょうか。

エラゴン 遺志を継ぐ者―ドラゴンライダー〈1〉
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この映画の原作は同名の小説なのですが、この作品はファンタジー好きが高じた作者Christopher Paoliniが17歳の時に書き上げ、その後自費出版したものが出版社の目に留まって再出版し、それがベストセラーになったということで話題になったものです。私は原作の方は書店で冒頭部分を立ち読みしたのみなのですが、若者が書いたものらしく読みやすかったのでこれから買って読んでみようかと思っているところです。

前評判では「上映時間が103分と短い中にあの原作のボリュームを詰め込んでしまっているので説明不足で何が起こっているのか解らない」などと言われていたのですが、実際に観てみると確かに頷いてしまうものでした。原作のかなりの部分が削られてしまっているためか、ストーリーはひねりのないかなり薄っぺらいものになってしまっています。短い時間に「詰め込んだ」というよりも「削り落とした」というような感じなので、ちょっと物足りない印象です。あまり長いダラダラした映画になるのは困りますが、3時間ぐらいかけてじっくり描いて欲しかったように思います。

しかし、この作品の魅力はThe Lord of the Ringsのような大河ドラマ的なものではなく、主人公Eragonと雌のドラゴンSaphiraが共に成長しながら育む心の交流のようなものにあるのかもしれません。この部分についてもこの短い上映時間では端折りすぎて描き切れていないのは残念なのですが…

映像面ではILMが参加しているということもありよくできてはいるのですが、LotRほどには金が掛けられていないようなので比べてしまってはいけないのかもしれません。どうも人間以外の種族も服装が違うだけの人間にしか見えませんでした。セットも大規模なものは少なく、全体的に安く上げられているのではないかという感じです。しかし、主役級の存在なのだから当然かもしれませんが、肝心のドラゴンはとても良くできていました。強大な破壊力と空を飛ぶ力を兼ね備えたドラゴンのデザインに説得力を持たせるのは難しいと言われていますが、このSaphiraのスタイルは特に違和感なく受け入れられるのではないでしょうか。

ということで、全体的には不満は強く感じるものの、押さえるべきところはしっかり押さえられていたように思うので、ここはぜひ2作目に期待したいと思います。ちなみに原作のドラゴンライダーシリーズは流行りの3部作で、2作目の「エルデスト 宿命の赤き翼」は発行されていますが、まだ3作目が完成していません。今から原作を読み始めると3作目の発売が待ち遠しいと言っているうちに内容を忘れてしまいそうな気がするので、読み始めるのはその発売が決まってからにした方がいいでしょうか?でもそうすると映画の内容を忘れてしまいそうですし…なんてどうでもいいことですね。

ドラゴンライダー2 エルデスト 宿命の赤き翼(上)
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