Violetこのところ「アンダーワールド」や「イーオン・フラックス」など「強いおねえさんが活躍するアクション映画」が続いていますが、以前はアクション映画といえばSylvester StalloneArnold Schwarzeneggerなどのマッチョな男性が演じるものだったような気がします。女性はか弱いもの、という固定観念もあったのかと思いますが、スレンダーな美女が殺陣を演じても迫力に欠けてモノにならなかったのではないでしょうか。それがSFX技術の進歩により、男女関係なく大迫力の戦闘シーンに仕立てることができるようになったために、こうして今続々と作られるようになったのでしょう。私もどうせ見るなら筋肉ムキムキの男よりもセクシー美女の方がいいに決まっているので大歓迎です。まあ若干食傷気味ではありますが…

ということで、「フィフス・エレメント」や「バイオハザード」シリーズなどで有名になったMilla Jovovich主演のSFアクション作品「ウルトラヴァイオレット」を観てみました。

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21世紀の終わり頃、超人的な能力を持つ兵士を作るというアメリカ政府のプロジェクトの過程で生まれた強力なウィルスが蔓延し、人類はこのウィルスの脅威を押さえ込もうとしますが、感染により超人化した知能と身体能力を身につけた感染者「ファージ」が組織化して地下に潜り、「人間」政府と抗争を繰り広げています。Milla演じる主人公Violetはこのファージの殺し屋で、妊娠中に感染したことで強制的に流産させられて夫も失ったために政府に対し強烈な怒りを抱いている、ということになっています。その後Violetはファージの組織にも追われる身となり、一人で戦っていくことになるのですが…

まあ、この作品のストーリー自体はあまり凝ったものではなく、未来版の吸血鬼の話のようなものではないかと思うのですが、それよりもビジュアルを前面に押し出しているようです。タイトルロールから日本語も書かれたマンガ雑誌をイメージしたものになっていてなかなかよくできていたのですが、私の全体的な印象としては「実写版アニメ」というような感じでした。現実的かどうかということにはあまりこだわらず、アニメの世界を実写で作ったらこうなった、というような作品です。もともと原作マンガやアニメがあったというわけではないようなのですが、演出の手法はアニメ的なように感じました。Violetの髪や服の色が色々変わったり、武器を電子的(?)にロードしておいて使うときに再構成するというようなアイデアもビジュアル的に面白いところです。

それにしてもこの作品はMillaの一人舞台といった感じで、敵役が全く不甲斐ないのが物足りないところでした。最後の最後は伯仲した戦いになるのですが、あまり苦戦している様子は伝わってきません。まあファージと人間では相手にならないということなのかもしれませんが。セクシーでカッコいいMillaを見るにはいいかもしれませんが、爽快感があるわけでもなく、あまりこれといって心に残るものもありませんね…もともとアクション映画なんてこんなものでしょうか?

ちなみにMillaの衣装を見る限り、今世紀末もYKKのファスナーは大活躍しているようですね。

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