FinePix X100最新のカメラには見えないかもしれませんが。

現在、大聖堂オーデコロンで有名なドイツのケルンでは写真・映像業界の2年に一度の見本市であるPhotokinaが開催されています。各カメラメーカーなどはこれに合わせて新製品の発表を行ったりしているわけですが、Pentaxからは私が愛用しているK-7の後継機であるK-5発表されました

このK-5はK-7をベースに高感度に強い新しいセンサー、最高秒間7コマの高速連写、高速なオートフォーカス、フルHD動画撮影、自動位置調整で手持ち撮影にも対応したHDR、などなどK-7の泣き所であったり、もっとこうだったらいいのにと思っていたようなところがしっかりと改善された素晴らしい製品となっているようです。特にセンサーの改善は下位機種のK-xにも負けていた一番の弱点であっただけに待ち望まれていたものですが、その期待に応える出来栄えになっているようです。

しかし、今回各社から発表された一連の新製品の中で、最も私の目を引いたのはK-5ではなく、富士フイルムのFinePix X100という製品でした。写真を見ていただけばそれだけでその理由は察しが付くのではと思いますが、このレトロな外観にはありがちなチープさが一切感じられず、性能面でも手が抜かれていないことが分かります。

コンパクトカメラながらAPS-Cサイズで1230万画素のCMOSセンサーを搭載し、焦点距離23mm(35mmフィルム換算で35mm)という広角でF2という明るめの単焦点レンズは基本性能の高さと使い勝手の良さを感じさせます。また、光学ビューファインダーの像に液晶ディスプレイの情報を光学的に重ね合わせる「ハイブリッドビューファインダー」なる世界初の機構を搭載しているとのことですが、これも謳い文句ほどの派手さはないものの実用的な機能なのではないでしょうか。

これまでコンパクトカメラでは物足りなくなってきた人たちがステップアップするとなるとその先には一眼レフしかなく、交換レンズを揃えるつもりのない人まで無駄に大きなカメラを抱えなければなりませんでした。しかし、このX100のような高級コンパクトカメラが選択肢にあれば、それを選ぶという人も多いのではないでしょうか。またもちろん、その外観に惹かれて購入するという人も少なからずいるでしょうから、ちょっと高価な製品にはなりそうですがヒット商品となるのは間違いないでしょう。

まあ私自身は少なくとも2本のレンズを使い分けているので一眼レフでないと困るのですが、それでも「モノ」としての魅力にあふれるこの製品にはかなり惹かれてしまいます。もちろん経済的にそんな余裕はありませんし、仮に買ったとしても使い分けられるわけではなく買っただけで満足してしまいそうな気がするので買いません。でも、「そんなにバリバリ写真を撮るわけではないが多少高くてもちょっといいカメラが欲しい」という人にはぜひ薦めたい、そんなカメラです。