Eraser相変わらず強すぎてあまりハラハラしないのが難点。

前カリフォルニア州知事のArnold Schwarzeneggerといえば、元家政婦との間に隠し子がいることが退任直後に明らかになり、それが原因で離婚することになってその慰謝料が過去最高額になるのではないかと言われていたり、せっかくハリウッドに復帰すると言われていたのもこのスキャンダルで保留されてしまったりと、このところろくなニュースがありません。さすがに州知事在任中に明らかになると政治生命に終止符を打つことになってしまうのでこのタイミングになったのでしょうが、有終の美を飾る事ができなかったのは残念なことです。

そんなArnoldの代表作といえば「ターミネーター」シリーズですが、もともとこの作品、Arnoldは主役だったのでしょうか。本来はLinda Hamiltonが演じたSarah Connorが主人公だったのでしょうが、台詞も少なかったTerminatorの見た目のインパクトと存在感から一気に人気キャラクターになってしまったのではないかと思います。それまで冴えなかったArnoldにとっては千載一遇のチャンスとなったわけですが、ほぞを噛んでいる人もいるかもしれません。

ところで、その後ヒット作を連発したArnold Schwarzeneggerの出演作品の中では平凡な作品に「イレイザー」というものがあります。私は十年以上前にスキーバスの中で見た記憶があるのですが、はるか前方の小さなブラウン管に映されていたので話の筋もほとんど分かりませんでした。そしてそのまましばらく忘れていたのですが、先日テレビで放映されていたものを録画していたので、また長男と一緒に観てみました。なんだか最近映画紹介ブログのようになってきてしまいましたが、決してそれを狙っているわけではありません。

イレイザー [Blu-ray]
監督:チャールズ・ラッセル
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010/04/21)
ISBN/ASIN:B003GQSY76

Arnold演じる主人公John Krugerは証人保護プログラム担当の連邦保安官です。そういうものがあるということ自体「アメリカって恐い」と思わせるに十分ですが、これまでに数々の映画などで題材にされているのでよく知られているのではないでしょうか。要するに告発者の身柄を裁判まで保護するのが役割ですが、そこで担当することになった女性が軍需企業と大物政治家の関与する重大な犯罪を告発しており、そこで証人を抹殺しようとする悪の手と戦う、というような話です。

この作品の目玉の一つは物語の鍵でもあるEM(Electro-Magnetic)銃と呼ばれる、電磁力を利用するいわゆるレールガンでしょう。2本のレールの間に渡したアルミの弾体に大電流を流し、ローレンツ力によって弾体そのものやそれがプラズマ化した高いエネルギーを発射する、というものです。実際に古くから研究が続けられているものですが、その原理が未来的で未だ実用化されていないことからSFの題材としての方がよく知られているかもしれません。この作品ではこのEM銃が実際に使われ、その超強力な性能とSF的な描写が印象的です。ただ、物体を透視できる照準機構はレールガンそのものとは全く無関係ですが、知らない人は混同してしまうのではないかと心配(?)です。

ということで、Arnoldの超人的な強さは相変わらずであまり代わり映えはしませんが、ところどころ「そんなバカな」という突込みどころはあるものの、そこそこ楽しめる作品になっているのはさすがです。すでに15年も前の作品なので、コンピュータ端末の描写に古臭さがあるのは否めず、コンピュータといえばWindows以降しか知らない長男も「古っ!」と突っ込んでいましたが、まあそればかりは仕方ありません。ただ、下手に未来的な演出を加えると、将来はレトロフューチャーになってしまうのだということがよく分かりました。