ソフト屋としてはこの原題はどうなのかという気もしますが。
国内外の評論家の評価も高く、予告編を観ても面白そうで、実際に本編を観てもやっぱり面白いのに、なぜか大して話題にならずあっという間にロードショーが終わってしまう作品というのがたまにあります。それほど大したものでもないのにしばらく上映しているような作品との違いは配給会社のプロモーションへの力の入れ方だけなのでしょうか。こういう作品は大都市であれば劇場の絶対数が多いのでどこかで上映していて観ることができるものかもしれませんが、中小地方都市に住んでいると地元の寂れた単独館かショッピングモール併設のシネコンしか無いので、売れ線から外れた作品はすぐに姿を消してしまうことになります。
ということで、同窓会のために上京して余った時間のあるこの機会に、私の地元のシネコンでは公開2週間で早くも1日1回のみの上映となってしまい、予定が合わずに観ることのできない作品「ミッション: 8ミニッツ」を新宿バルト9に観に行ってきました。このバルト9という劇場も綺麗で椅子もゆったりしていて傾斜が大きく、座席数に対してスクリーンも大きくて素晴らしいですね。すべてデジタル上映対応というのも素晴らしく、今回もデジタルだったためか非常にくっきりした映像で観ることが出来ました。
さて、「ミッション: 8ミニッツ」というこの作品は、その邦題になっている8分間のミッションというのがほぼ全てです。シカゴへ向かう列車が爆弾テロに遭い、乗客全員が犠牲になるという大惨事になります。ある人間の死の直前の8分間の意識に入り込めるという装置により、主人公Colter Stevensは乗客の一人Sean Fentressになり代わり、事件の犯人を突き止めるミッションを課せられる、というような話ですが、その裏には色々と隠された事実があり、なかなか凝ったシナリオになっています。死の直前の意識に入れるとは言うもののそれはタイムトラベルではなく、現実に起こったことは変えられないという前提がはっきりしているのはちょっと新しいのではないでしょうか。
主人公のColterを演じているのはJake Gyllenhaal、Colterの道連れであったChristina WarrenをMichelle Monaghan、Colterに司令を伝えるColleen GoodwinはVera Farmigaがそれぞれ演じています。主な登場人物はこの3人ですが、もっとも有名であろうJakeの日本での知名度を考えると、日本での盛り上がりの低さは仕方ないのでしょうか。それでも皆なかなか渋い演技なのではないかと思います。
物語はかなり不条理な所があり、主人公はそれまでの間に散々辛い目に遭わされているだけに、最後の最後の終わり方は予想できる形ではあるもののホッとできる形で良かったです。結局数多くあるテロと戦う英雄の話の一つではあるのですが、そんな単純ではないので非常に楽しむことが出来ました。しかし気になるのはこのプロジェクトの名前です。科学者であれば「ソースコード」だなんていうコードネームは付けないと思うんですけどね…しかもそれがそのまま原題になってしまっていますし、ここだけはちょっとセンスが理解できません。それ以外は素晴らしいだけに…