Cowboys & Aliens違和感なし。

一口に映画といっても実に様々なジャンルがあり、それぞれ人によって好みの映画というものがあります。私の場合はSF、ファンタジー、若干オカルト気味、といったあたりが好きな映画に当てはまりますが、私の妻はサスペンスが好きだということなので私が観たいと思っている作品にもなかなか付き合ってもらえません。とはいえ、たまに気まぐれで全く違うジャンルの作品を観てみると案外面白かったりもするので、あまりその好みにはこだわらないほうがいいのかと思っています。

しかし、ウエスタンというのはこれまであまり観たことがありません。劇場では中学生の頃に観た1本のみだと思いますが、そのタイトルさえも忘れてしまいました。「ペイルライダー」だったでしょうか。「今時ウェスタンなんて流行らない」と思ってしまいますが、しかしこれがエイリアンものと組み合わさってしまうとどうでしょう。いくらなんでも突飛な組み合わせですが、それを実際に、まじめに作ってしまったのが今回観た「カウボーイ&エイリアン」です。下手すると面白おかしくなってしまうこの組み合わせを、あくまでウェスタンとSFのハイブリッドとして成立させているのかが非常に興味深いところでした。

西部開拓時代のアメリカ、主人公は草原で目を覚ましますが、脇腹に怪我を負い、腕には得体のしれない腕輪のはまった状態、自分の名前も覚えておらず、わかるのは英語を喋るということのみ。町に行ってみるとそのうち自分がJake Lonerganという名のお尋ね者らしきことは分かりますが、謎の女Ellaに助けて欲しいと言われるものの何のことなのかわかりません。そうこうしているうちに町は突然空を飛ぶ機械の襲撃を受けますが、Jakeは変形して武器となった腕輪で立ち向かい…というような感じですが、なんだかよくわかりませんね。
Olivia Wilde as Ella Swenson
主人公のJakeを演じているのはJames BondことDaniel Craigなのも、この作品を観てみようと思ったきっかけの一つです。Danielが演じるようになってから007も締まったように、微笑を見せても全くニヤけたような感じにならないところがいいです。また、もう一人主役級のWoodrow Dolarhydeの役でHarrison Fordが出演しています。最初はかなり感じの悪い役ですが、さすがにこの大物が使われるだけある印象的な役です。そう、Harrisonももうハリウッドでかなりの大物なのですよね。

さらに今回ヒロインのEllaは「トロン:レガシー」でもヒロインのQuorraを演じていたOlivia Wildeによります。トロンの時とはコスチュームも髪型、髪の色も違うのでかなり印象が異なりますが、町の他の人達とはどこか違うところのある神秘的な役柄で、誰にでも演じられるものではないのではないでしょうか。また、なんとなくKeira Knightleyに似ているようなきがするのは私だけでしょうか。

エイリアンの描写にはもちろんCGIが使われていますが、このエイリアンたちがなかなかグロテスクです。最近の映画に出てくる悪役エイリアンはどれもこんな感じのような気がするのですが、彼らを悪役として認識しやすくするためには必然的な造形なのでしょうか。私にはあの粘液が生理的な不快感を感じさせるのですが、何とかならないものでしょうか。まあわざとやっているのなら仕方ありませんが…

ということでどうなるかと思った意外なジャンルのミックスだったのですが、これがなんと全くおかしな所がなく見事に混ざり合ってひとつの作品として成立していました。まあ、エイリアンが本当に地球にやって来るものなのだとしたら、どの時代のどの地域にやって来たっておかしくありませんからね。西部開拓時代のアメリカにエイリアンが来て、それに抵抗したとしたらこんな感じになっていた、ということでしょうか。