Robocop本場で観ました。

デトロイトというとおそらく誰もが思い浮かべるのが全米一の凶悪犯罪都市というイメージではないでしょうか。指標の取り方にもよるものの必ずしも全米最悪というわけではないのですが、こういう印象を決定的にしてしまった原因の一つは1987年の映画「ロボコップ」ではないでしょうか。警察も腐敗しきって荒廃した近未来のデトロイトを舞台に、犯罪組織に惨殺された警官がロボット警官として蘇り、やがて復讐を遂げるというストーリーですが、高校生だった私はこの映画を観て、SFとしての設定の秀逸さなどに鳥肌が立つほど興奮したのを憶えています。

そして今私はデトロイト近郊の治安の良い地域に住んでいるのですが、これまでに何度かデトロイトにロボコップの銅像を建てようという計画が持ち上がったと聞きました。しかし、ロボコップといえばデトロイトのイメージを地に落とした、負の象徴のような存在ですから、そんなにうまくいくわけもなく、未だに実現しないままです。そんな中で、ロボコップのリメイクの製作が進んでいるという情報があり、それが楽しみなようなまた悲しいようなと思いながら待っていたのですが、ついに先週公開されたので、早速そのリメイク版「ロボコップ」を観に行ってきました。
Robocop
オリジナル版はレーティングがRとなっていたこともあってかなり残虐なシーンがあったのですが、今回はPG-13となったので直接的な暴力描写はなくなりました。主人公の警官Alex Murphyが殺されるシーンもオリジナルでは銃でなぶり殺しにされる惨いものでしたが、今回は爆弾の一撃です。こういった違いによって若年層にも見せることが出来る作品にはなりましたが、その分全体的に軽い印象になってしまったのは否めません。

一方、低予算映画としてストップモーションなどアナログな技法で作られたオリジナル版に対し、その十倍の予算と最新のCG技術などを駆使して作られた今作では映像として非常に洗練された物になりました。特に顕著なのはED-209の迫力あるスムーズな動きでしょう。いまどきの映画としては特別なものではありませんが、リメイクの価値はここに見出すこともできるのではないでしょうか。

オリジナルの評価が高くなければそもそもリメイクしようということにもならないわけですが、そのリメイク版がオリジナル版の評価を越えるというのはまたなかなか難しいものだと思います。本作も予想していたよりは遥かに良かったがオリジナルを超えるほどではない、というような評価がされてしまっているようですが、私としても非常に楽しむことはできたものの新しさはないので大きな感動があったというわけでもありません。ただ、オリジナルを観ていない人であれば純粋に楽しめるのは確かだと思います。

なお、劇中でロボコップやED-209を作っていたOmnicorpの本社ビルはGM本社ビルRenaissance Centerの南西に並んで、イサム・ノグチの作品であるHorace E. Dodge and Son Memorial Fountainという噴水のあるPhilip A. Hart Plazaという公園を潰して建てられたようです。確かにデトロイトではここが一番見栄えのする場所でしょうね。