Non-Stop - Liam Neeson as Bill Marks, Michelle Dockery as Nancy Hoffmanこんな人に安全を預けて大丈夫…みたい。

マレーシア航空370便クアラルンプール発北京行きが行方不明になり、捜索が難航しているというのが今日私が起きてすぐ知ったニュースです。Wikipediaには「マレーシア航空370便墜落事故」という記事ができてしまっていますが、現時点ではあくまで行方不明であり、何らかのトラブルで航路を逸れてしまっていたなどと言ってひょっこり出てきて欲しいものです。

飛行機の事故というのはいっぺんに沢山の命が奪われてしまうことが多いためにどうしても目立ってしまいます。自動車事故に遭うよりも確率は低いと言われてはいますが、自動車事故はその辺を歩いているだけでも巻き込まれる可能性があるのに対し、そもそも飛行機に乗らなければ相当運が悪くない限り遭遇することはないでしょう。そう考えると飛行機嫌いの人の気持ちもわからないでもないのですが、それでもやはり確率的にはかなり低いものなので、気にしても仕方がないと思っています。

しかし、その安全が守られているのも各種機関により様々な安全施策が取られているからこそあるものでしょう。アメリカでは運輸保安庁(TSA)とその傘下にある連邦航空保安局(FAMS)がその任にあたっていますが、普段どのように私達を守っているのかはあまり知られていないのではないでしょうか。今日はそのFAMSの職員である航空保安官を主人公にした映画”Non-Stop“を観ました。航空事故のあった日に不謹慎な、という声もあるかもしれませんが、私が観たからといって被害が大きくなるわけでもないし、観なければ無事に帰ってくるというものでもないので気にしないことにしますが、事故の関係者にこの映画の話をするようなことはしないだけの分別はあるつもりです。
Non-Stop - Liam Neeson as Bill Marks
さて、この作品のストーリーですが、航空保安官のBill Marksが任務としてニューヨーク発ロンドン行きBritish Aqualantic 10便に登場していると、保安官用の専用回線にテキストメッセージが入ります。「指定の銀行口座に一億五千万ドルを振り込まないと20分ごとに1人ずつ乗客を殺害する」というもので、実際に20分後には巧妙に一人の命が奪われます。その後も実際に20分ごとに亡くなっていき、Billは徐々に厳しい立場に追い詰められていく、というものです。

要するに飛行機のハイジャックものなのですが、終盤になるまで一体誰が犯人なのか映画を観ている観客にもわからない、というのが面白いところでしょう。直接的に凶器を使って脅されているわけではないので、Billもパイロットや地上職員など周りの協力を得ることができずに苦戦するのです。また、焦るBillが疑わしい乗客を手荒く扱う様子などを動画に撮られ、その場でYouTubeに投稿されてハイジャック犯扱いされてしまうといったあたりは現代的で、現状の機上インターネット接続サービスの帯域では現実的なものかどうかわかりませんが、フィクションなので良しとしましょう。
Non-Stop - Lupita Nyong'o as Gwen Lloyd
主人公のBillはLiam Neesonが演じていますが、アル中で航空保安官のくせに機内のトイレでタバコを吸ってしまうダメなショボくれたオヤジの表情がなんとも言えません。この映画を観て「あそこにテープを貼れば検知されないのか」などと思ってやってしまう人が現れないことを願いますが、検知器を無効化することも禁じられていますからね。Billの隣りに座ったことから協力することになるJen SummersはJulianne Mooreが演じており、登場した時からただ者ではない事がわかってしまいます。主に関わるキャビン・アテンダントNancy HoffmanはMichelle Dockeryですが、もう一人のあまり登場しない方のCA、Gwen Lloydとしては先日アカデミー助演女優賞を受賞したばかりのLupita Nyong’oが出演しています。出番が少なくアカデミー女優らしさが見られなかったのは残念ですが、何となく印象的ではありました。

ストーリーの全体的なバランスとして、最後にクライマックスがやってくるという感じではないので若干尻すぼみに思えるかもしれませんが、それまでの展開が非常にミステリアスかつスリリングなので、中だるみのようなものを感じることは一切ありませんでした。常に主人公Billを中心に描かれているので、Billと謎を共有する感じなのがいいのかもしれません。先週末に公開されて、先週の観客動員数がトップだったことから観ることにしたのですが、期待以上に楽しめる作品で満足しました。