若い頃に読んでいたら違っていたかも知れません。
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図書館へ行くと入口近くにある新刊コーナーをチェックするのが私の習慣なのですが、先日見つけたのが「名作コピーの時間」という本でした。これまで宣伝コピーというものにはそれほど関心があったわけではありませんが、パラパラとめくってみると軽く読めそうだったのでとりあえず借りてみたところ、思いがけず面白かったのでご紹介したいと思います。

名作コピーの時間
名作コピーの時間

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宣伝会議 (2019-01-07)
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この本は宣伝会議が発行する月刊誌「ブレーン」の同名の連載をまとめたもので、プロのコピーライターが自分にとっての名作コピーを3本ずつ選んで、それにまつわる自分の経験などを語っているリレーコラムになっています。やはり名作とされているものなので、取り上げられているのは私でさえ知っている、聞いたことがあるというものが大多数となっています。それらが登場した当時のことを思い出して、私自身が懐かしく感じるところもありますが、同業のコピーライターとしてそれぞれの著者が感じた思いというのがまた興味深いものです。

さすがに言葉で表現することを生業にしている人たちなので、基本的に文章がとてもうまいです。3ページ程度の短い文章の中で言いたいことがちゃんと伝わってくるので、文章を書く上でも勉強になるのではないかと思います。もっとも、コピーというのはもっと短い言葉に凝縮しなければいけないわけですから、この人達にとっては大したことではないのかもしれません。

ただ、電通博報堂という広告大手一流企業の現役や出身者が多いためか、プライドの高さが鼻につくような人もいるのがちょっと残念でした。業界の仲間内で読まれる文には業界内のヒエラルキーで済んでしまうのかも知れませんが、全くの部外者にはあまり良い感じのものではありませんね。もちろんそういう人ばかりではないのですが。また、広告業界の専門用語、特に「クリエイティブ」という言葉が一般的な使われ方とは違うようなので、これにも慣れが必要でした。

インターネットでは嫌われがちな広告ですが、そこに命をかけているクリエイターもいるので、たまには目を向けてみるといいかもしれません。この本はなかなか面白かったので次男にも勧めて読ませてみましたが、高校生の彼にも面白さを感じてもらうことができたようです。