2004年に公開されたアクションアドベンチャー大作”Van Helsing“のDVDが早くも旧作扱いになっていたので、TSUTAYA半額セールの今週末、借りて来ました。

ヴァン・ヘルシング
ヴァン・ヘルシング

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ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン (2004/12/22)
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冒頭から吸血鬼ドラキュラ伯爵、怪人フランケンシュタイン、ジキル&ハイド、狼男という伝説の怪物らが登場し、以前観た「リーグ・オブ・レジェンド」と被るところがあるのですが、あちらが気楽に楽しめる明るい作品だったのに対し、Van Helsingの方はハラハラするスリルと緊張感に満ちた密度の高いストーリーとなっています。主な舞台は19世紀のトランシルヴァニアということで、全体的なトーンもかなり暗めですが、トランシルヴァニア城や周辺の景色は本当に美しく描かれています。

最近のファンタジー作品ではもう珍しくもありませんが、例によってCGが効果的に使用されています。ドラキュラの「花嫁」達は人間の姿をしているときは美しいのですが、翼を持つ姿になったときは恐しく醜悪で目を見張ります。フランケンシュタインなども昔の映画では苦労したのでしょうが、現代のCGの力を借りれば全く違和感なくできてしまいます。

それにしてもいつも洋画を観ていて気になるのは日本語字幕の出来です。私は演じている俳優自身の声の演技も聴きたいので、たいてい英語音声に日本語字幕で観るのですが、英語のセリフとはかなりニュアンスの違うことを字幕に出されるとがっかりしてしまいます。この作品でいえば、字幕の「ウルフマン」というのは何とかならなかったのでしょうか。英語では狼男・人狼をwerewolfというのですが、これがなぜ和製英語チックな「ウルフマン」になってしまうのか…

また、ドラキュラとイゴールのやりとりで、「なぜいじめる?」「私のキャラです」というのもあります。キャラって一体…もとのセリフは”Why do you torment that thing so?” “It’s what I do.”ですが、「性分ですから」くらいにしておいてほしいものです。限られた文字数に収めなければならないという事情はわかりますが、状況にあった言葉を選択するというのがただの翻訳とは違う映画字幕のプロならではの技術なのではないでしょうか。

字幕に関してはThe Lord of the Rings(一作目)のときにも騒ぎになりましたが、労力に見合わぬ薄利多売がその元凶だということです。そのきっかけを作ってしまったのは他ならぬ戸田奈津子氏だという話もありますあが、氏があまりに安価で請けてしまっているために報酬の相場が低く抑えられてしまい、若い翻訳者が育たないという悪循環を招いているということです。氏の功績は計り知れないほど大きなもので非難するわけではありませんが、質の悪い字幕のせいで映画の印象が悪くなってしまうようでは残念です。

それはともかく、このVan Helsing、かなり楽しめたので、今2回目を観ながらこの記事を書いているところですが、本当に良くできた作品だと思います。好き嫌いははっきりするのではないかと思いますが、アドベンチャーものが好きな人、作りものだとわかっていても醒めてしまわない人にはお勧めできます。下敷になっている伝説には必ずしも忠実ではありませんが、堅苦しいことは抜きに楽しめる作品なので、細かいことに拘らずに観てほしいと思います。

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