予選ではトヨタのトゥルーリがチーム参戦後初のポールポジション獲得ということで大いに盛り上がったのですが、本戦の方はもっと大変なことになってしまいました。

フリー走行でトヨタのラルフとゾンタが相次ぎクラッシュし、ミシュランの調査でその原因がタイヤにあると判明、10周以上走行したタイヤではIndiannapolis Motor Speedwayの最大の特徴である最終コーナーからのバンク部分には耐えられないということが伝えられました。ミシュランからその対策としてヨーロッパから空輸したタイヤへの交換を認めてほしいとの申し出がされましたが、今年の新レギュレーションである「タイヤは1GP1セットのみ」というものに抵触することになるため認められませんでした。それならば、とミシュランユーザのチーム側からはバンク手前にシケインを設けるなどの案も出されたものの却下され、FIA側は頑なな姿勢を崩そうとしませんでした。

結局、ミシュランユーザの各チームはフォーメーションラップには出たものの、スターティンググリッドには着かずにそのままピットに入ってしまい、グリッドにはブリジストンユーザであるフェラーリ、ジョーダン、ミナルディの3チーム6台のみが着き、そのままレースはスタートしてしまいました。10台以上の出走がない場合にはレギュレーション上、GPレースとして認められないのですが、フォーメーションラップには出たためリタイヤ扱いとなりました。

レースは淡々とノルマの如く周回をこなすだけのものとなり、フェラーリの2台の一周遅れでジョーダン、その一周遅れでミナルディという結果に終わりました。レース中にはスタンドからは大ブーイングが送られ、コース上にはペットボトルなどが投げこまれでバリチェロがそれを踏む場面などもありました。そんな中での見どころをあえて上げれば、ミハエルの2回目のピットアウトの際にピット出口でバリチェロと競りあうような場面があったことくらいです。バリチェロはミハエルとのバトルを望んでいるようでしたが、ピットからの「2台とも完走したい」との無線連絡に応じてペースを落としたようです。チームオーダーは禁止ということになっていますが、これはギリギリというよりもクロなのではないでしょうか。3位には今年唯一の全戦完走ドライバーとなったモンテイロが入り、表彰台でも一人喜びを爆発させていましたが、ほかの二人がさっさと奥に引っ込んでしまったのが、タナボタとはいえかわいそうでした。それでもフェラーリ勢はしっかりポイントを獲得して、ドライバーズランキングはミハエル3位、バリチェロ4位、コンストラクターズランキングでもフェラーリがマクラレンに並ぶ2位に躍進することとなっています。

今回の問題での一番の原因はミシュランが十分な性能のタイヤを用意していなかったということにあるわけですが、これについてミシュランは非を認めた上で、ドライバーや観客の安全を考えて別のタイヤを使用したいと言ったわけで、ここには何の策略もないわけです。これに対してFIAがレギュレーションを楯に一歩も譲らないというのもそれ自体は仕方のないことだと思います。しかし、ファンあってのF1、あくまで興行であるわけですから、高価なチケットを入手して各地から集ってきたサーキットの観客や、世界中でテレビ観戦しているF1ファンのことを考えれば、どこかで妥協することはできなかったのでしょうか。タイヤを交換することについてはフェラーリも合意していたというだけに、非常に残念です。

今年のアメリカGPは歴史に残る最低のグランプリだったのではないでしょうか。去年観たような琢磨の素晴らしい活躍を期待し、また見事ポールポジションを獲得したトゥルーリの走りも楽しみだったのに、本当に残念な結果となってしまいました。