永らくRelease Candidateの状態が続いていたオープンソースのオフィススイート、OpenOffice.org(OOo)のバージョン2.0がようやく正式リリースされました。私はこれまでRC版をインストールして使っていたのですが、使用頻度が低いこともあって特に不具合にも遭遇しなかったので、どうしてなかなかリリースされないのかと訝っていたところです。
配布ファイルはWindows版で75MBという大きなサイズになりますが、BitTorrentでの配布も行っているというのも嬉しいところで、おかげで275kB/sという高速でダウンロードすることができました。何かと煙たがられがちなP2Pの中でもBitTorrentには匿名性はなく、ネットワークの負荷分散を念頭に置いているのでWinMXやWinnyと混同されずにもっと普及が進むといいのですが。
今のところは英語版のみということになっているのですが、順次他言語版のリリースもあるはずなので、日本語版も近いうちに公開されるでしょう。英語版でもメニューやダイアログが英語になっているというだけで日本語の取り扱いには全く問題ないので、英語のインタフェースが苦でないという人は特に日本語版を待たなくてもいいのではないかと思います。
バージョン2.0での新機能は多岐に亘っていますが、
- Open Standards XMLファイル形式(OASIS Open Document)
- 新しいマルチペイン表示
- 新しいカスタムシェイプ
- より多くのスライド遷移とアニメーション効果
- 機能強化されたPDFエクスポート
などなど、数多くの機能があげられています。個人的にはPDF出力でしおりやハイパーリンクが正しく扱えるようになったというのが嬉しいところだと思います。
Microsoft Officeと完全に同じ機能を実装しているというわけではなく、同じように印刷できるというわけでもないのですが、日常的に使用する限りにおいては特に大きな不満を抱くことなく利用することができるレベルにあるのではないかと思います。人からWord形式でファイルをもらってしまった時などに開いて内容を確認することができるというだけでも役に立つでしょうが、OOoだけを使っていれば互換性を気にする必要はなく普通に活用することができるます。また、今回OASIS Open Documentに対応したこともあり、OOoの普及がある程度進めばMS Officeに対して一気に優位に立てるのではないかと思いますがどうでしょうか。
ヨーロッパなどでは政府がOOoを標準として採用を進めていたりしますが、日本の役所では無理でしょうね…日本では「保証がないから」などと根拠なくフリーソフトウェアが敬遠されがちですから。保証があったからといって何をしてもらえるわけでもないのに。私の勤務先でもMS Officeを使っていますが、全てのPCにMS Officeをインストールするとなるとそのライセンス料も莫大な金額になるはずです。「私はOOoでいいから」などと言っても互換性がうんぬんと言われて却下されるのは目に見えていますが、MS Officeだってバージョンが違えば互換性はないんですけどね…