関東の人々の間では「関西人は納豆を食べない」というのが定説となっており、私も引っ越してくるまでそう思いこんでしまっていましたが、実際は決してそんなことはありません。納豆が嫌いだという人の割合は若干高いかなとは思いますが、関東でも苦手な人は珍しくもないでしょう。「関西では買えないのでは」とまで言われることもありましたが、スーパーなどでも当たり前のように並んでおり、全く普通に食べられているのではないでしょうか。こちらで生まれ育った私の妻も子供の頃からよく食べていたそうです。
ところが最近は関西テレビの人気番組「あるある大事典」の1月7日の放送「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」というテーマの中で「納豆にダイエット効果がある」と紹介されたことで一気に品薄・入手難になってしまっていたそうですね。昔から納豆は健康食品と言われていてこの番組でも何度となく取り上げられているはずなのですが、「痩せる」というキーワードに敏感な世の奥様方が飛びついてしまったということのようですね。しかし、「番組内容に事実とは異なる内容が含まれていることが判明」したということで番組ホームページには謝罪文(?)が掲載されており、これに伴って今日21日の放送は中止、このままこの番組自体が打ち切りになるのではないかというような噂も飛び交っているようです。
私も「お詫び」をちゃんと読んでみるまでは「またか」というくらいの感覚でいたのですが、実際によく読んでみるとこれは「含まれている」どころか実験自体が大幅に捏造されたもののようで、これでは「ダイエット効果などない」と実証してしまっているようなものではないかというほどのものでした。その手口は
- 被験者とは無関係の写真を使用
- 教授の日本語訳コメントは実際には発言されていない
- 「中性脂肪値が高くてお悩みだった2人は、完全な正常値に!」とコメントされているが実際には中性脂肪値は測定していない
- 別の実験でも血中イソフラボンの測定は行っておらず比較結果は架空
- DHEA量も血液を採取しただけで測定は行っておらず結果は架空
と多岐にわたっており、じゃあ事実はどれだけ含まれているのかと聞きたくなるような、かなり悪質な内容のものでした。
公共性を高らかに謳っていたメディアのとんだ失態ですが、身内に甘い業界のことですからこれも大きく報道されるようなことはなく闇に葬られてしまうことになるのでしょうか。不二家の問題は連日大きく取り上げてやり玉に挙げていますが、こちらも信頼を裏切ったという点で同程度に悪質であり徹底的に追求されなければならない問題であるはずです。私は半信半疑というか、眉につばを付けてみていましたので「やはりそんなものか」という程度のものですが、多くの人は完全に信じ切っていたのではないでしょうか。
一方、番組の効果で突然納豆ブームが巻き起こって納豆業界は空前の活況に湧き、急いで増産を決めたところも多いのではないかと思いますが、これでは一気に冷や水を被せられたようなもので、設備投資を行ってしまったようなところはかなり苦しいことになってしまうのではないでしょうか。我が家の朝食に納豆は欠かすことのできないものなので、また安定して供給されるようなことになり、逆に余った商品が安売りされるのではないかと個人的には嬉しいこともありますが、これでメーカーが倒産してしまうようなことがあるのでは喜んでもいられません。万一のことがあるようであれば、関西テレビは補償も考えるべきなのではないでしょうか。