雨に濡れるねずみ男@水木しげるロードガッカリ名所と誰が言った?

お盆休みを1週間後に控えた8月3日は私の勤務先がなぜか休みだったので、山陰方面に1泊で出掛けてきました。当初は1日目に鳥取のどこかの海岸で海水浴を楽しむつもりだったのですが、台風5号「ウサギ」の上陸でそれどころではなさそうということで予定を変更し、2日目に行く予定だった境港市水木しげるロードに行ってみることにしました。

水木しげるといえば、言わずと知れた「ゲゲゲの鬼太郎」の原作者であり、怪しげな世界妖怪協会会長として日本中、世界中に伝わる妖怪の伝説をまとめ上げている人です。この境港は水木氏の出身地であるということで町を挙げて水木ワールドを作り上げ、町おこしに成功(?)したことで話題になったところです。郵便局の消印や住民票の写しの透かしにまで鬼太郎のキャラクターが使われているそうですが、その中心となるのはやはり何といっても「水木しげるロード」です。

水木しげるロードJR境線境港駅から商店街に至る約800mの道路両側の歩道に、妖怪のブロンズ像が合計120体も立ち並ぶというもので、この沿道には妖怪グッズを取り扱う土産物店や、一般の商店でも妖怪、特に水木キャラにちなんだネーミングやデザインを施していたりして独特な観光名所になっています。また随所で100円で売られている「妖怪ガイドブック」にはブロンズ像一体一体の妖怪についての解説が載っているのですが、その一部についてはスタンプ帳になっていて、それぞれの像に近い店舗の店頭に置かれているスタンプを集めていくというスタンプラリーの楽しみも用意されています。スタンプを20個以上集めるとシールがもらえ、36個全てのスタンプを集めると「妖怪スタンプラリー完走証」なるものがもらえるということなので、これらを目標に集めて回ると楽しいでしょう。

事前に聞いていた情報では「道路にブロンズ像が並んでいるだけ」ということだったので、一体どうやって時間を潰したらいいだろうかなどと悩んでいたのですが、これは実際には全くの杞憂でした。子供たちにとってはこのスタンプを探すのもなかなか楽しかったようで、台風の余波で雨風の強い中、水木しげるロードを歩き土産物を物色するだけで結局3時間ほども費やしてしまいました。私はこのあとCafé Rossoに行くつもりだったのでヤキモキしてしまったくらいです。一応目に入ったものは全て押して回ったつもりなのですが、ひっそりと置かれていて見落としがちなものもあって、最終的に集めたスタンプの数は28個でした。据えて集めるには何往復もさせられてしまうかもしれません。

実際、ハードウェア的には確かに「道路にブロンズ像が並んでいるだけ」なのですが、そこに加えて用意されたガイドブックというソフトウェアにより完成度が高まり成功を収めているということなのではないでしょうか。きっとこのガイドブックを買わずにただブロンズ像を眺めて帰ってきたという人にとってはその楽しさがわからず、「全然面白くない」ということになってしまい、他にはめぼしい観光スポットもない「漁業と鬼太郎の町」であるだけにこれを楽しめなかった人にとってはガッカリ感も強いことでしょう。とはいえ新鮮な海産物も実に魅力的なもので、私たちは昼食に回転寿司を食べましたが、これもストレートにネタで勝負のオーソドックスなもので、シャリが小さなにぎりだったので皿数は増えてしまったものの安くて美味しい寿司に大満足でした。

結局台風のせいで傘を差していても下半身はビショビショになってしまったのですが、炎天下でジリジリと焼かれて汗だくになるよりは良かったかもしれません。しかしできればもっと商店街に屋根が付いていると嬉しかったです…アーケードの有り難みを今回ほど感じたことはありませんでした。そういえば妖怪の着ぐるみが練り歩いているという話だったのですが、この台風の中では無理かと諦めていたところねずみ男には遭遇することができました。さすがに濡れるわけにはいかないので屋根のある狭い範囲しか歩けないのでしょうね。