毎日jp驕れる人も久しからず…

インターネットの普及に伴い、新聞の購読者数、販売部数は減少の一途をたどり、各社はそれぞれ危機感を抱いているようです。印刷された新聞よりも速く新しいニュースを提供してくれるニュースサイトというものがあり、また新聞各社もそれぞれのウェブサイト上で無料でニュース記事を提供しており、大抵の場合情報収集はそれだけで済んでしまうわけですから、当然といえば当然の流れです。

ただし、新聞には紙のメディアならではのメリットというものがあり、朝食を摂りながら読んだり、出勤時に持ち出して通勤電車の中で読んでいるという人も多いのではないでしょうか。また、テレビや雑誌など旧来のメディアには、自分から情報を得ようとしなければ入ってこないインターネットとは違い、プッシュ型のメディアであるという特徴もあります。特に新聞の場合には紙面に載せられている情報は非常に多岐にわたっており、ふと思いがけない記事に出会うことがあります。

しかしそういう利点があったとしても、月々4千円前後の購読料を支払う価値があるかどうかは難しいところです。特に携帯電話などの通信費がかさむ若い世代にとっては、必然性を見出すことができなければ真っ先に削られてしまう経費ではないでしょうか。以前はテレビ欄のためだけに新聞を取っているなどと言う人もいたように思いますが、そのテレビすらも見ないという人が増えている今、縛り付けるものはなくなってしまいました。

という状況の中、新聞各社もインターネットを積極的に活用することに活路を見出そうということなのか、昨日10月1日に全国紙5紙揃って動きがありました。

まず、これまでMicrosoftMSNと提携してMainichi MSNを運営してきた毎日新聞社が、MSNと袂を分かって独立サイト毎日jpを立ち上げました。これといった特徴は無いオーソドックスな構成ながらもスッキリと読みやすいデザインになっているようです。広告も多すぎるというような印象もなく、使い勝手はよいのではないでしょうか。

一方、産業経済新聞社は代わってMSNと提携を結び、MSN産経ニュースを立ち上げました。こちらもオーソドックスなものですが、MSNの統一されたイメージを継承しているためか、これまでの産経新聞のサイトデザインから若干洗練されたものになったような気がします。なお、このサイトが優れているのは、フィードアイコンが各所に表示されていて、RSSフィードに容易にアクセスできるようになっているところです。フィードリーダで読むようになると広告収入が減るのではないか、と思うのか読売新聞などはRSSフィードを提供していないようですが、大抵新聞社のフィードはタイトルのみのものとなっているので記事本文を読もうと思えば新聞社のサイトへアクセスすることになるので、結局この時に広告を目にすることになります。したがって、記事のページへのアクセスを増やすためには積極的にフィードを提供すべきではないでしょうか。

これら2社が大きな動きを見せたその日に合わせて、残る3社、読売朝日日経共同配達と共同サイト運営、災害時の新聞制作の相互援助などの提携を結んだと発表しました。現時点では具体的なものは特にないようですが、毎日や産経に世間の目が奪われてしまわないようにと発表だけはぶつけてきたようです。

インターネット事業では、共同ニュースサイトを開設し、3社の紙面のトップ記事や社説などの主要記事の「読み比べ」ができるサービスや、3社の記事を共同で配信するための新たなツールの提供を検討していく。原則として無料で、2008年初めのサービス開始を目指す。

ということなのですが、読む側にとってはGoogleニュースで十分な内容ですね。まあ各社にとってはGoogleに広告収入を奪われるのは面白くないということなのでしょうが、運営経費に見合った収入を上げることができるものなのかどうかは疑問が残るところです。

ということで色々な動きがあったわけですが、新聞が敬遠されるようになった背景の一つには、その恣意的な報道による情報操作が明らかになってきて、それを読者が嫌ったということもあるのではないでしょうか。いくつかの新聞を読み比べてみるとわかることですが、それぞれの新聞によって掲載されている事件やそれに対する論評は様々で、たとえば朝日と産経ではずいぶん違うものになっています。これはよく言えば各社のカラーということになるわけですが、下手をすると世論を誘導しているようにも見えるわけで、こういった面でも一紙をとり続けるというのは得策ではないとも言えるのではないでしょうか。

この点インターネットでは各紙を読み比べることも容易にできますし、大手メディアでは取り上げないようなニュースを読んだりすることができるというのも、単に無料であるというだけではないメリットと言えますね。もちろん巧妙なデマや煽動には乗らないようにするだけの知恵も必要なわけですが、最近話題の「アベしちゃう」などマスメディアも似たようなことをやっているので…