Tokyo Motor Show 20072年に一度のお祭りですから…

日本では都市部の若者を中心に関心が薄くなってきており、国内の自動車販売台数は伸び悩んでいるということなのですが、その分BRICsと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国という新興工業国では爆発的な勢いで自動車が売れているということで、自動車産業全体としてはまだまだ日本経済を支える中心的な産業であることに変わりはないようです。そんな自動車業界に携わる者としてだけではなく、自動車を愛する者としては2年に一度の東京モーターショーは欠かすことのできない一大イベントなので、遠路はるばる夜行バスに乗って見学してきました。といっても私の場合は実家が東京にありますので、モーターショーのためだけに上京したというわけではなく、単にきっかけでしかないような気もしないではないのですが…

それはさておき、私が会場に足を運んだのは11月1日の木曜日、普通のサラリーマンや学生はいないはずの平日を狙い、休暇を取得して少しでも楽に見学しようとしたのでした。しかしながらさすがに世間的な注目度も高いイベントですから、比較的空いているとはいってもかなりの賑いです。また平日は逆に業務として調査に訪れているような業界人も多く、事実私の職場からも当日出張で来ていたはずですが、あれだけの人がいては出会うこともありませんでした。

テレビその他の報道では日本メーカーのコンセプトカーを中心とした紹介になり、「夢の自動車」が華々しく登場したりしているわけですが、実は私はこういったものにはまるで興味が持てず、今回も日本メーカーのコーナーはざっと見て回っただけで素通りに近い状態でした。これは私が内情を垣間見てしまっているために夢を見ることができないということもあるのかもしれませんが、それ以前にデザイン的な完成度の低さにガックリ来てしまうのです。見せるためのコンセプトカーなのですから、ほとんどデザインで勝負になるのではないかと思うのですけどね…

今回のショーでは各メーカーが環境を重視したコンセプトを打ち出しているなどと言われていたように思いますが、私にとって残念だったのは要素技術の展示がかなり少なかったということです。環境技術というもの自体が地味なものであるのは仕方のないことですが、コンセプトばかりでベースとなる技術が紹介されていないのでは実効性に疑問を抱かざるを得ません。まあ、どのメーカーも同じようなことをしているので差を付けるのが難しいということもあるのかもしれませんが…

では私は何を楽しんできたのかといえば、やはり輸入車です。今は「外車」というのも特に珍しいものではなく、普通に街中で走っているのを見掛けるものですが、他人の車をそうマジマジと見ることはできません。また実際に買うわけでもないのにショールームなどに行ってセールスマンの相手をするのは面倒がありますが、モーターショーであればそういう問題はなくいくらでも見て、触って、乗ってみることができます。ある程度以上のクラスの車になるとドアがロックされていたり、超高級車になると柵の外から眺めるだけになってしまいますが、私が好きなのは小さな車なので問題ありません。じっくり見て、沢山写真を撮って、運転席に座って堪能することができました(撮った写真はFlickrで)。

ということで、日本で開催される最大規模のイベントをしっかり楽しんできたのですが、世界三大モーターショーの一つと呼ばれるこの東京モーターショーも消防法の規制でエンジンを運転できないなどの制約があるとか、直前に行われるフランクフルトショーからの間隔が短いという問題があって徐々に地位が低下してきてしまっているそうです。今年ついにGMを抜いて世界トップの座に着いたトヨタのお膝元なのですから、主催の自動車工業会も頑張らないといけませんよね…