ホンダのオデッセイと共に日本のミニバンを代表するトヨタのエスティマがフルモデルチェンジしました。
1990年に発売された初代モデルはエンジンを75°傾けて床下に搭載することで独創的な卵形のフォルムを実現し、良い意味でトヨタらしくない車となっていたので私も好きな車だったのですが、それもEmina/Lucidaという小型廉価版の投入で台無しにされてしまいました。元々新開発の2ストロークエンジンを搭載することを考えていたためエンジンスペースが小さかったことが失敗の原因で、大きなエンジンを搭載することができず販売には苦労したようで、モデルライフが10年に及んだのも開発費の回収に時間がかかってしまったためのようです。
先代である二代目は2000年の発売ですが、普通にボンネット内にエンジンを搭載するFF車となり当初から3000ccエンジンを載せることができるようになりましたが、その代わりにノーズ部分が長くなり乗用車に近いフォルムとなって、これといった特徴のないトヨタらしい車となってしまいました。
今回発売された三代目はエンジンがさらに大きくなって3500ccと2400ccの二種類で、組み合わせられるトランスミッションはそれぞれ6速ATとCVTとなっています。3500ccエンジンは206kW(280PS)ものパワーで1800kg前後の車体、乗員を合わせると2トンにも及ぶ巨体をものともせず引っ張るのでしょうが、2400ccの方は125kw(170PS)ということなのでもっとパワーが欲しい、という場面が多々ありそうです。
外観は二代目の雰囲気をほぼそのまま踏襲しているようですが、フロントグリルからヘッドライトのあたりの造形は特徴のある未来的なものになっています。何となく後半分のサイドのラインがホンダのエリシオンに似たところがあるような気がするのですが、前は紛れもなくエスティマですね。
内装では多彩なシートアレンジを売りにしているようですが、セカンドシートが大きくスライドし、サードシートを床下に収納することができるというところが特徴のようです。確かにサードシートを収納した状態で4人乗りとした場合に、広々としたセカンドシートと広大な荷室空間が両立できるというのは魅力的かもしれません。特に7人乗りモデルではセカンドシートがオットマンを内蔵したキャプテンシートとなっているため、私も運転するよりも後部座席でのんびりする方がいいくらいかもしれません。ただし、写真から窺うとサードシートは床下に格納するためにクッションが犠牲になっているように見えるので、それは割り切る必要がありそうです。
価格は267〜389万円と上級ミニバンらしく、とても私には手が出せませんが、仮に同じものをダイムラーやBMWが作ればもっと高くなってしまうのは間違いないので、そういう意味では割安と言えるのでしょう。トヨタのことですから、買ったあとで期待を裏切られるようなこともあまり無いでしょう。このモデルも売れるのでしょうが、やはりお勧めは予算が許すのであれば3500ccの方となるでしょうか。まあ、私が自分で買うということは考えられませんがセカンドシートは魅力を感じるので、誰かがくれたら売り払わずに乗る、という程度には欲しいかもしれません。