実際にオウムがやろうとしていたのはこんなこと?
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」は気になっている私ですが、基本的に邦画は観ません。西洋かぶれだとか、邦画をバカにしているというわけではなく、私の好きなSFやファンタジーという分野は莫大な予算を必要とするものですし、良く見知った土地が舞台ではどうしても興醒めしてしまうものです。アクション映画の街中での追跡シーンなどでも、ニューヨークやシカゴなどであればその物語の中に入り込むことができますが、たとえ洋画でも渋谷で車が横転したりしていると「そんなバカな」と感じてしまったりもします。
というわけなのですが、以前家族で「崖の上のポニョ」を観に行ったときにでも予告で観たのではなかったかと思う「20世紀少年」を長男が観たい観たいと騒いでいたので、第1章のDVDを借りてきて私も一緒に観てみました。第2章の公開前にはテレビでも放映されるのは知っていましたが、それは見逃してしまったので仕方ありません。
VAP,INC(VAP)(D) (2009/01/30)
ISBN/ASIN:B001KEM11Q
週刊ビッグコミックスピリッツに連載されていた同名の漫画作品を原作として実写映画化したものですが、ストーリーやキャストは原作にかなり忠実になっているらしく、Wikipediaでは原作との相違点として細かな項目が挙げられているのも、逆にいかに原作に近いかということの表れと言えるでしょう。
主役のケンヂ役は唐沢寿明がコミカルな面もシリアスな面も非常にうまく演じていて、他の役者が演じていたらまた違った印象になっていたのではないかと思います。一方ヒロインのユキジは常盤貴子が演じているのですが、この人の演技などにも全く不満はないものの、この二人が同級生だという設定にどうしても違和感を拭えませんでした。とはいっても、第2章以降の展開を考えると一人の役者で20年分以上の期間を演じることになるので、単に実年齢がその期間のどこにあるかというだけなのですが、私がこの二人の役者の実年齢のちょうど中間にいるので余計違和感があるのかもしれません。
この他の出演者もかなり豪華なメンバーとなっていて、制作費に対するギャラの占める割合も高そうです。何しろ邦画は観ない、テレビも観ないという私なのに、知っている人が沢山出ています。また、タカアンドトシやオリエンタルラジオなどのお笑い芸人がコンビで出てくるのは話題作りのためで仕方ないとはいえ、この作品ならもっと真剣勝負でも行けると思えるだけにちょっと残念な感じでした。
ストーリーについてはあえてここに書くまでもないと思いますが、相当荒唐無稽な話であるはずなのに、オウム真理教が実際に企んでいたこととそれほど大きな違いがないということが恐ろしく感じられます。この作品ももちろん地下鉄サリン事件を初めとする一連の動きに大きな影響を受けているのでしょうが、映画の中に実際の事件を紛れ込ませても全く違和感がなさそうなのが恐いったらありません。
ということで、なんだかんだで私も大いに楽しんだので、子供と一緒に第2章のDVD化を待ち遠しく思っています。やっぱり原作の方も読んでみたいものですが、近くに持っている人がいないものでしょうか…