The Incredible Hulkやっぱりわかりやすくないとダメなようですが。

スパイダーマンX-メンを初めとして、ファンタスティック・フォーや最近ではアイアンマンなど、作る度に大ヒットが約束されているかのようなMarvel Comicsの実写映画版ですが、そんな中でもいくつかの例外があります。日本では知名度の低さや地味なスーツのせいもあったのかデアデビルは今一つだったようですが、昔テレビで放映していたこともあって知名度は十分なはずの超人ハルクの映画版「ハルク」は人間ドラマに焦点を当ててしまったおかげで興行的には失敗となってしまったようです。

今回観た「インクレディブル・ハルク」はもともとこの「ハルク」の続編の予定だったものが、この失敗を受けて仕切り直しということになり、スタッフもキャストも一新し、新しいストーリーで作り直したものだということです。やっぱりアメコミものはわかりやすさが第一ということなのでしょうか。

ある実験中にガンマ線の照射を受けたことにより、心拍数が200あたりになると怪力を持つ緑色の巨人ハルクに変身してしまうことになった主人公が、その異変に苦しみながら、軍事利用のために彼を捕獲しようとする「将軍」から逃げ回るのですが…というような話です。ガンマ線というのは要するに放射線の一種ですから、それを照射されて遺伝子が変異したからといって変身するようになるというのは説明のできるものではないと思いますが、そんなことは気にしてはいけません。

ハルクに変身する主人公のBruce Bannerを演じるのはEdward Nortonですが、この人にはアクション映画のヒーローとしての派手さはありませんが、苦悩する人の演技には素晴らしいものがあります。Edwardが演じているのはハルクになっていないときのBruceなのですから、こういう人でなければ行けないのでしょう。

ヒロインのBettyの方はLiv Tylerが演じていますが、この人はまだ31歳でしかないのに落ち着きすぎていて、もっと歳がいっているように見えてしまうのは私だけでしょうか。「ロード・オブ・ザ・リング」のArwenの時はまだ二十歳そこそこだったのですが、それもまた信じられないことです。まあ、Edwardの方は39歳なので、ちょうど釣り合っていていいかもしれないのですが。

それはともかくこの作品、前半はひたすら逃げ隠れていて、中盤以降はよく暴れる、という形になっていて、そこに男女や親子のドラマが軽く載せられているような感じです。全体的に深みに欠け、アクションもそれほど迫力があるというわけでもなく、なんだか中途半端に感じてしまいましたが、わかりやすいと言えばわかりやすいので狙い通りということなのかもしれません。それでも日本での成績はアイアンマンの半分以下とパッとしなかったようですが…

あとちょっと気になったのは、最後の取って付けたようなシーンはどうも繋がりが悪いので、エンドロールの後にした方が良かったのではないかな、ということです。それだとアイアンマンと同じパターンになってしまうので避けたということなのかもしれませんが、ちょっと違和感がありました。