再びGigazineの記事経由の情報ですが、アメリカのNatron Energyという会社がミシガン州ホランドの工場でナトリウムイオン充電池世界初の商業生産を開始したとのことです。ミシガン州ホランドはその名の通りオランダからの移民の町で、オランダから最後に持ち出された本物の風車が移設されていたり、チューリップ畑が広がっていたりとのどかな雰囲気のある町です。

現在スマートフォンや電気自動車などのバッテリーとしてはもっぱらリチウムイオン電池が利用されていますが、この電池には製造のためにリチウムという希少鉱物が必要であり、高熱に弱いなどの問題があります。特にリチウムの生産量が限られているため、バッテリーの供給が追いつかず、結果的にコストが高止まりしているのも問題です。

これに対してナトリウムイオン電池は潤沢なナトリウムを始め一般的な原料のみで製造できること、熱に強いこと、充電速度がリチウムイオン電池の10倍ほどと高速であること、寿命が充放電サイクル5万回と10倍以上であること、などなど多くの利点を備えているとのことです。ただ、現時点ではエネルギー密度の点でリチウムイオン電池に及ばないため、小型軽量化が重要なスマートフォンや自動車での利用は難しいようで、無停電電源装置などでの利用が想定されているようです。しかしこれも今後開発が進めばリチウムイオン電池を凌駕する時が来る可能性があります。

ということで今後どうなるか楽しみですが、このような分野でも以前は日本企業が先端を走っていたのにというところはちょっと寂しいところです。