Super Aguri F1 TeamサンマリノGPでのアルバースへの接触で火が着いた格好となっていたSAF1の井出選手を巡る問題ですが、ついに最悪の結果、スーパーライセンスの取り消しということになってしまいました。SAF1による経緯説明によれば、「スーパーライセンスが取り消される前にチームドライバーから外したらどうか」ということだったのでヨーロッパGPでは急遽モンタニーがステアリングを握ることになったわけですが、結局それも「ドライバーから外せば取り消さない」といったわけではなかったということのようです。

しかしそれにしても、フォーミュラニッポンのシリーズチャンピオンを獲得したという実績により、正当な手順を経て交付されたはずのライセンスがどうして明確な理由もなく、単にパフォーマンスが良くないからというだけで取り消されてしまうことになるのか、納得できる人はそういないのではないでしょうか。確かにアルバースとのアクシデントではクルマが派手に横転したということで「自分達も同じ目に遭いたくない」と他のドライバーやチーム関係者が思ってしまうのもわかりますが、あの事故自体は特に危険な行為の結果というわけではなく単に当たりどころが悪かっただけではないのでしょうか。

また納得できないのが、今回の裁定に際してFIAがジャン・トッド、ロン・デニス、フランク・ウィリアムズらの意見を事前に聴いているということです。彼らが実際にどういう意見を述べたのかはわかりませんが、彼らのチームのドライバーらの発言から考えれば取り消しに肯定的な発言をしたであろうことは推測できます。このときなぜホンダやトヨタの関係者らからは聴かないのか、確かにF1参戦キャリアの長い歴史あるチームの代表者らであり、発言力が大きいのはわかっていますが、それは単に歴史が長いからというだけなのではなく、F1がやはりヨーロッパ人のスポーツ、文化であるという認識でいるためなのではないかと思わずにはいられません。

私にはこの問題は井出選手の処分だけで決着するとはとても思えず、今後様々な形でSAF1の日本カラーを薄めるような働きかけや、SAF1そのものの参加を不可能にするような動きが見られるのではないかと心配でなりません。それはシーズン開幕以前から思っていたことですが、それが杞憂に終わればいいと思っていたものが徐々に現実味を帯びてきているようで非常に不安です。昨年のBAR Hondaへの嫌がらせも同じ問題だと思うのですが、これ以上「日本に金は出させても目立たせはしない」というような動きが明らかになるようであれば、日本のチーム、サプライヤ、スポンサー、メディアが一斉にF1の世界から手を引くような態度を明らかにし、圧力をかけるようなことも必要なのではないのでしょうか。もちろん私自身はこのままF1を楽しみたいと思っていますから、そういう事態は避けてほしいのですが…

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