Thor「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない」出ました。

有史以前から文明が生まれたところには必ず神話が生まれるもので、その種類は限りないのではないかと思いますが、その中でも有名なのはギリシャ神話ローマ神話でしょうか。この2つは歴史的に連続しているのでよく似ていますが、これらとは独立したものの一つに北欧神話というのがあり、これは北欧のゲルマン民族の間で伝わっていたものです。

ギリシャ神話といえば最近「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」という映画の題材となりましたが、今度は北欧神話の「トール」という神を主人公として映画「マイティ・ソー」が製作されました。といっても、この神というのは他の星に住む宇宙人のようなもので、地球人にはない力を持つため神と崇められていた、というような設定のMarvel同名のコミックを原作とするものです。

原作とは少々設定が異なるようなのですが、映画では主人公のThorは父であるオーディン王の怒りを買い、力を奪われて地球に追放されます。ワームホールを研究しているヒロインのJaneは地球に落ちてきたThorに出くわすことになりますが、彼女の研究するワームホールこそThorらが星々の間の行き来に使用している「虹の橋」だったというわけです。
Thor and Jane
Thorを演じるのはChris Hemsworthという俳優で、この作品が初の大役のようですが、Thorのイメージを全く違和感なく演じており、これがこの人の当たり役ということになるのではないでしょうか。一方ヒロインJaneを演じるのはアカデミー女優となったNatalie Portmanです。そもそも私はNatalieが演じているからこそこの作品を観てみようという気になったので、彼女の姿を見ることができただけで満足なのですが、存在感はあるのに自然な演技でやはり素晴らしいです。

やはりコミックが原作となると映像はSFX満載の派手なものになりますが、地球上以外のシーンの多くはグリーンバックで撮られているのではないでしょうか。特にThorらの敵である巨人の国Jötunheimrのシーンは登場人物も含め合成ばかりでかなりの費用がかかっているのではないかと思われます。しかし、この作品は3Dで上映されているのですが、その立体効果は余りはっきりしませんでした。意識して見ると奥行きを持たせられているシーンもあるにはあるのですが、明るさが下がってしまうことと3Dメガネの傷や汚れの影響で映像がぼやけることを考えると、やはり安易な3D化はやめてもらいたいものです。劇場によっては2Dで上映されているところもあるのでしょうが、場合によってはそういうところを選んだ方がいいのかもしれません。

ということで、思っていたよりも楽しむことができましたが、典型的なアメコミ原作の実写化作品とも言えるかもしれません。観終わった後の感覚がどれも似たような感じなのですよね…まあモヤモヤしたものが残らなくていいとも言えるのですが。