面白ければいいじゃない。
ギリシア神話の神々と人間とのハーフの少年少女が活躍するファンタジー小説「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」については以前書きましたが、やはり日本でもそれなりに人気があるらしく図書館で予約しても順番が回ってくるまでしばらく時間がかかり、年末になってようやく最終巻の第5巻「最後の神」を借り出すことができました。この巻も500ページを越えるボリュームのある作品ですが、リズム良く読み進めることができるので私も長男もそれぞれ2日で読破してしまい、大変楽しむことが出来ました。
シリーズ物は最後まで読み終わってしまうともっと続きを読みたいと思ってしまうものですが、それではということで今度は映画化された作品「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」の方を観てみることにしました。
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2011/01/07)
ISBN/ASIN:B0047CPIMM
やはり原作からは若干ストーリー進行が変更されているところがありますが、基本的な設定については原作に忠実で、人物が登場すると長男と「これがグローバーかな」「あっ、くさくさゲイブだ」などと言いながら観ていました。原作から変更されているところも約2時間という上映時間の制約や映像としての見栄えなどの点を考えれば十分納得出来る範囲ではないかと思います。
ただ、原作を読んだ時のイメージからすると若干キャストに違和感がありました。グローバーはもっとひ弱なイメージでしたし、アナベスはもうちょっと子どもっぽい感じだと思っていましたが、まあそれは私が勝手にそう捉えていただけの話なので他の人にとってはどうだか分かりませんね。主人公のパーシー役のLogan Lermanについては原作を読むより前にポスターなどで目にしていたので気になりませんでしたが、よく考えると原作のパーシーは12歳の設定で、映画版では17歳の設定になっているのですね。この5歳の差は大きいですから、アナベスの違和感はこのせいでしょう。
この作品を見ているとなんとなく「ハリー・ポッター」シリーズによく似ているような気がしたのですが、それもそのはず、本作の監督は「ハリー・ポッター」シリーズ最初の2作品の監督、3作目のプロデューサーとして関わっていたChris Columbusなのでした。だからといってそれが悪いということは全く無くて、むしろ私は「ハリー・ポッター」でも初期の作品のほうが落ち着いていて好きなので問題ありません。ただ、やはり神々の威圧感のようなものを映像として表現するのは難しかったでしょうね。このシリーズでは一番重要なポイントになるかと思いますが、今ひとつ表現しきれていないような気がしました。
一方、Uma Thurman演じるメデューサについてはかなり生々しく気持ちの悪い出来になっていて、現代の映像技術の素晴らしい進歩を実感します。一昔前まではこれほどリアルなメデューサを描くことは難しかったでしょうし、今でも相当金が掛かっているのではないでしょうか。
全体的には、原作を読んでいたことですんなり物語に入り込むことができて良かったのですが、未読の場合はどうでしょうか。ギリシア神話には疎いというのがほとんどの日本人でしょうから、もうちょっと説明が必要なのではないかなという気がしないでもありません。まあ特にギリシア神話を理解しなくても冒険活劇としては楽しめるとは思うので問題はないといえばないのですけどね。