三又の鉾子供向けにしておくのはもったいない。

ギリシャ神話というのはなかなか日本人には馴染みがないものかもしれませんが、ゼウスポセイドンアポロンあたりの名前は聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。あるのかどうか知りませんが、最近ではゲームのキャラクターなどでも馴染みがあったりするのかもしれません。でもやはり神話自体がどのような内容なのかを知っている人は少ないでしょう。またローマ神話とごっちゃになってしまっているという人もいるでしょう。しかし3500年ほど前にも遡るというその歴史がありますから、ローマ神話と並んで西洋文明の中には深く染み込んでいるのではないでしょうか。あちらこちらにギリシャ神の像がありますし、アテネを始めとしてギリシャ神にちなんだ地名というのもあります。

ところでギリシャ神話というのは日本の神道と同様に多神教なのですが、その登場する神々が非常に人間くさいのが面白いところです。人間の異性と恋愛をして子供を作ってしまったりするので、デミゴッドと呼ばれる半神半人のハーフも存在します。デミゴッドたちは神の力を半分受け継いでいるので人間としては非常に能力が高く、英雄と呼ばれる存在になりますが、代表的なのはヘラクレスでしょう。

アメリカで問題児として育ってきた少年が実はそうしたデミゴッドの一人だったと知り、訳あって大冒険の旅に出るという内容の映画「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」が今年公開されましたが、その原作シリーズがアメリカではベストセラーとなっているということだったので、まずは原作から読んでみました。

児童向けのファンタジー作品なので活字が大きくふりがなが振られているとはいえ、500ページ以上もある長編作品なのですが、先に長男に読ませたところ夢中になって2日ほどであっという間に読みきってしまいました。それではと私も読んでみると、文体は子供向けの平易なものですが、そのストーリーの豊かさは子供向けと侮れるものではありません。私にとっても非常に面白く、長男に負けず劣らず夢中になる始末、ハリー・ポッターを上回るものがあるような気がします。魔法あり、魔物ありの大冒険です。

ギリシャ神話をよく知らなくても、主人公であるパーシー・ジャクソン君も詳しくはないので一緒に説明を聞くことができるので問題ありません。もちろん、作中で説明されない背景についても熟知していればその分だけ面白みも深まるかとは思いますが、大勢には影響ないでしょう。それよりもアメリカ東海岸から西海岸に横断する際の都市の位置関係を知っていた方が良いかもしれません。

もちろんギリシャ神話の神々やデミゴッドが実在するなどということは大の大人であれば信じられるものではないでしょうが、こういう設定はこれまであまり見たことがなかったのでちょっと新鮮でした。今回読んだのはシリーズ第1作の「盗まれた雷撃」のみですが、もちろんこの後のシリーズも読むつもりです。この後パーシーがどんな冒険を繰り広げてくれるのか、非常に楽しみなものです。

ただちょっと気になってしまったのが、これまでの戦争も神々の間の争いが原因であるとされていて、第二次世界大戦もゼウスとポセイドンが冥界の王ハデスと争ったものであるということなのですが、そうすると日独伊の枢軸側は冥王ハデスの側ということなのです。アメリカ人に対してはそれでいいでしょうが、日本人としてこれはちょっと微妙ですね…