Captain America戦時中のプロパガンダそのまま。

Iron ManHulkThorといったMarvelのスーパーヒーローたちが結集したチームAvengersについては、昨年映画化されて私も観て来ましたが、このメンバーの中で私が特に馴染みがなかったのがCaptain Americaでした。Avengersの面々の中では特殊な能力を持っているようでもなく、特に強いわけでも無さそうなのになぜか一目置かれているというのがよく分からなかったのですが、コスチュームも古臭くてなかなか魅力が感じられず… つい先日になってようやく映画「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」を観ることができました。

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時は第二次世界大戦中の1942年、Captain AmericaことSteve Rogersはもともと兵役を志願しても不適格とされてしまうような貧弱な体格の持ち主でしたが、愛国心と勇気は誰にも負けないものを持っていました。そこに目を付けたのが軍の進めていたスーパーソルジャー計画に携わっていたDr. Erskineで、Steveは博士の被験者となり、超人的に強靭な肉体を得ることになります。しかし博士はその直後に暗殺されてしまい、彼は唯一の超人兵士となりますが、国家は彼を戦場で活躍させるのではなく戦意高揚のためのマスコットとして各地を巡らせます。そうして訪れた前線のイタリアで…
Captain America: Red Sull
そう、古臭いキャラクターには理由があったのです。最初に作品が発表されたのも1941年と今から70年も前、そしてキャラクター自体が当時の世相と密接に関係しているので大幅にイメージを変えるわけにもいかないわけです。またCaptain Americaというアメリカを代表するような名前も、実際に戦時中のアメリカでプロパガンダ的に利用されていたものとなれば納得ができますし、アメリカ以外の国では受け入れられにくいのも仕方がないというものです。

Steve Rogersを演じるChris Evansは身長184cmの立派な体格の持ち主ですから、超人化する前の貧相な体はCGによるものなのでしょう。体格に似合わず太い声に違和感がありますが、それ以外は不自然でもないのは技術の進歩のおかげでしょう。敵役となるのはHugo Weavingが演じるRed SkullことJohann Shmidtですが、Agent SmithElrondでお馴染みのHugoだけあって存在感は際立っています。またヒロインは軍のキャンプで出会うPeggy Carterで、Hayley Atwellが演じていますが、クラシックな髪型とメイクアップが素敵です。
Captain America: Peggy Carter
しかしナチというのは便利な存在ですね。世界中の誰から見ても悪の存在であって、公然と悪役に使用しても誰からも文句を言われることがなく、登場した瞬間に悪役であることが分かってしまいます。東アジアのいくつかの国では旧日本軍も同じような扱いを受けているのでしょうが、それを他の地域に持っていくことは難しいでしょう。しかしナチの場合はドイツでも肩を持つこと自体が犯罪とされているので、このように対象が限定されることもありません。連合国もドイツもうまい形で終わらせたものです。

それはともかく、この作品はどうもプロパガンダ臭が強くて私にはなんとも言えない居心地の悪さが感じられます。「アメリカ人」であればすんなり受け入れられるものなのでしょうか。日本ではこのような作品が作られることはとても考えられませんが。