思いがけないことがあるもので。
昨年はアメリカ北部が大寒波に見舞われ、ミシガンでも記録的な降雪と低気温を経験しましたが、今年の冬は更に寒くなるというようなことが秋頃から言われていました。去年より寒いなんていったいどんな…と思っていたのですが、先週はまだ11月半ばだというのに気温が-10℃ほどにまで下がって雪も少々積もり、今年来たばかりの人にとっては大きな衝撃だったようです。しかしミシガンではその程度で済んだものの、東部はもっと大変だったようで、ニューヨーク州などでは2mを超えるような積雪となったそうです。
ナイアガラの滝で有名なNiagara Fallsの近くに、ニューヨーク州のBuffaloという比較的大きな街がありますが、ここを拠点にするNFLのBuffalo Billsというチームがあります。今年日本から来た職場のT君は学生時代にアメフトをやっていて、そのチームのユニフォームがBillsのものを手本にしたことからBillsが好きらしく、一度試合を見に行きたいと言っていたのですが、なんとそのBillsのスタジアムがグラウンドや観客席の積雪のため試合ができず、デトロイトにあるLionsの本拠地であるFord Fieldを急遽借りて試合をするということになりました。
このような場合、正規の料金を取っていては到底観客も集まらないので、数ドル程度の低料金で提供してスタンドを埋めるという噂もあったのですが、実際に蓋を開けてみると無料・自由席、ただしLionsのウェブサイトでチケットの確保は必要、ということになりました。チケットが残っていたら翌日にチケット売り場でも配布、さらに残れば当日券もありというような案内もあったこともあり、無料といってもファンでもなければ殺到するようなことはないだろうと私たちは高をくくっていたのですが、アメリカでのフットボール人気を甘く見ていたと認めざるを得ません。チケットの配布が始まるやいなやウェブサイトにはアクセスが集中して、私はページに辿り着くこともできないまま、なんと7分で配布は終わってしまったそうです。しかし、チケットはなんとか他の人が確保してくれたので、当日月曜日に職場から5人で車に相乗りして観に行ってきました。
Billsの対戦相手は同じニューヨーク州の、New York Jetsというチームですが、今回はあくまでBillsのホームゲームという形なので、しっかりとフィールド中心にBillsのマークとエンドゾーンに”Bills”の文字が大きく描かれていました。しかしながら、T君はBillsのグッズを見たいという思いもあったようですが、残念ながらそこまでは持ってくることができなかったようです。
試合内容はやはりトップリーグということで、先日観たカレッジフットボールと比べると選手の技量も作戦の幅も違い、見応えのあるものでした。試合結果は31-3でBillsの勝ちと一方的なものになってしまいましたが、一時は流れがJetsにあるのが見て取れるような状況もあり、決して退屈するようなものではありませんでした。私自身がどちらを応援するというわけでもなかったので、双方の良いプレーを素直に讃えられるのも良かったかもしれません。
ただ、本拠地でのホームゲームではないために連れてくることができなかったのか、チアリーディングもなく、ハーフタイムショーも非常の簡素だったのはちょっと残念でした。無料で見ているので贅沢は言えませんが、本物のNFLを知るにはやはりもう一度通常の試合を見に行かなければならないのでしょう。とはいえ、無料にしたおかげか気づいてみれば観客席はほぼ満席で、Billsベンチの裏の区画はBaffaloから来たと思しきBillsファンで埋まり、熱心に応援していました。Baffaloからデトロイトまでは車で5時間ほどの距離とはいえ、わざわざやって来ることができたのはサンクスギビングの週で休暇が取りやすかったのか、もともと連休にしていた人が多かったからなのかもしれません。その人達にとっては不幸中の幸いだったというわけですが、2mも雪が積もっているというのにフットボールなんて見に来ている場合だったのでしょうか。兎にも角にも急なイベントとしては成功に終わったようで何よりですが。