Liberty & Brilliance of the Seas何もしないという贅沢。

コスメルでは私達が下船したあとで同じ桟橋の反対側にBrilliance of the Seasという一回り小さな船も寄港していて、出港もLibertyの方が一足先となったのでBrillianceに見送られる形となり、Libertyの出発時の汽笛にBrillianceが答えるという掛け合いがありました。Brillianceはフロリダのタンパからコスメルのみに寄港する4泊のコースで主に運行されているようです。

さて、Liberty of the Seasのクルーズも2日目と5日目はカリブ海を航行してフロリダと中米の間を行き来するため、丸一日海上で過ごすことになります。当然、この間乗客を退屈させないようにあの手この手と趣向が凝らされているわけですが、私はむしろこの暇こそを楽しみにしていたと言っても過言ではありません。

私もプールを利用してみたり、20年ぶりほどでアイススケートをしてみたりはしたのですが、結局ショーを見たりパーティに参加したりといったことはせずじまいでした。その代わりに何をしていたかというと、もっぱら読書です。自宅から何冊も本を持ち込んでいたのですが、船内のカフェでコーヒーを飲みながらそれを読んでいました。そんなことは家の近くのスタバでもできるじゃないか、というのは尤もなのですが、それをあえて船の上でというのが贅沢で良いではありませんか。デッキのプールサイドで冷たいものを飲みながらのんびりする、という方が船上ならではで良いのでしょうが、本を読むにはちょっと日差しが眩しすぎました。

また今回のクルーズでは食事がどれも美味しかったというのが最高でした。私達は結局追加料金無しに利用できるメインダイニングとカジュアルなビュッフェしか利用しませんでしたが、メインダイニングのメニューが日替わりになっているので、明日は何が食べられるのだろうと毎日楽しみでした。ビュッフェの方は主に朝昼食に利用しましたが、こちらのメニューも一部が日替わりになっているので、毎回同じものを食べることになってしまうというようなこともなく、むしろ「あれも食べたかったのに満腹で食べられなかった」というほどのものです。

まあ結局のところ、様々なオプションが与えられた中から自分に合うものを選んで、自分なりに楽しめれば良いということですね。クルーズ会社はなるべく多くの客に喜んでもらうようにオプションを提供しているだけで、何もお仕着せというわけではないわけです。仮に部屋に閉じこもっていたとしても何も言われることはなく、唯一強制されるのは最初の出航前の避難訓練のみでしょう。実際、ゆとりのあるスイートを利用しているような人は食事もルームサービスで済ませ、のんびりと部屋で寝転んでいたりすることが多いように見受けました。

そうこうしているうちに楽しかった非日常も終わり、6日目の朝にはいよいよフォートローダーデールに帰港となってしまいました。まだ暗いうちに港に入り、いつものように音もなく接岸したのは7時前ですが、下船前に窓の外に現実世界を眺めながら最後の朝食を摂ります。

下船時にはアメリカへの入国審査と税関手続きがあり時間がかかるため、船内の指定された集合場所で待機しなければなりません。そこでしばらく待たされた上に「入国手続のせいで下船処理が遅れている」と放送があり、結局船を降りたのは1時間以上待ったあとでした。その後もなかなかスムーズには行かず、デトロイトへ戻る飛行機の時間も刻々と迫る中、最初のホテルからのシャトルに乗るときに頼んでおいた帰りのシャトルで空港にたどり着いたのは出発時刻の1時間前、手荷物の預入と保安検査でもそれぞれ待たされたので、出発ゲートに着いた時にはもう搭乗が始まっているというバタバタでした。

さらに飛行機に乗り込んだあとにもひと騒ぎあって、クルーズでのんびりした後で最後にハラハラさせられてしまいました。ホリデーシーズン半ばのこの時期に暖かいフロリダから寒いミシガンへとわざわざ移動する人は少ないのか機内は空席も目立ち、オーバーヘッドビンもガラガラだったのでゆったり帰れたのはまだ良かったです。気温25℃ほどのフロリダから0℃のデトロイトへの移動というのは若干気が滅入るようでしたが、着いてみると日が照っていて風もなかったせいか思っていたほど寒くも感じなかったのは単に慣れただけでしょうか。