Amtrak Empire Builder

Empire Builder田舎をひた走る。

今月はいよいよ長男が日本の高校に編入するために帰国し、妻も付き添いで一時帰国しているのですが、ちょうどその同じ日に私は次男を連れて念願のAmtrakでアメリカ横断の旅に出ました。横断といってもミシガンから西側のみですが、まずはシカゴまでWolverineという列車で向かい、そこからEmpire Builderというアメリカ北部を横断する列車で2205マイル(3549km)をおよそ44時間で走りワシントン州シアトルへと向かうというものです。

自宅から最寄りの駅までは妻の車で送ってもらいましたが、そこを出発する列車が既に1時間ほど遅れてしまい先行きはかなり不安なものとなりました。シカゴUnion Stationにはなんとかそのままの遅れで到着したので、駅近くにあったEpic Burgerという店でハンバーガーを食べ、Empire Builderの出発を駅で待ちました。今回私たちは個室寝台車を予約していたので駅にあるラウンジを利用することができましたが、飲み物とスナックが無料とは言うものの種類も少なく、席の数もあまり余裕が無いのでそれほど良いものでもありません。これには期待しない方が良いでしょう。

時間が近づくと呼び出しがかかり、一斉に列車へと向かい乗り込みます。個室は予約時に指定され、車両には番号が付いているのでそれを探して乗るのですが、番号が連番ではないのはちょっと謎な感じです。車両の入り口ではアテンダントが個室の場所を教えてくれて、私たちの部屋は2階の車両最後尾ということでした。私が予約したのはSuperliner Roometteというもので、Roomに”ette“という「小さいもの」「もどき」「女性」などを表す接尾辞が付いている通り部屋と言うにはちょっと小さく、思っていた以上に狭いというのが第一印象でした。上位のSuperliner Bedroomというトイレ・シャワー付きの部屋とだいぶ迷ったものの$1400ほども違うので諦めたのですが、その差額はかなり大きいですし、座席車に比べれば雲泥の差がありますので良しとします。

Roometteは車両中央に通路があってその両側に個室があり、それぞれの中には大窓の横に前後向かい合わせに座席があり、寝る時にはその座席がベッドに変わり、もうひとつのベッドが頭上から降りてくるという形になっています。窓は中央に桟があり2枚に分かれていますが、それぞれ幅80cmほど、高さ60cmほどあり、見晴らしは保証されているので実際には窮屈な感じはあまりありませんでした。座席も大柄なアメリカ人も座れるサイズなのでだいぶゆとりがあり、日本の通勤電車なら2人分の幅かもしれません。

予想に反して列車は1分も違わず定刻通りに発車し、一路北西へと向かいます。踏切に差し掛かるたびに必ず警笛を鳴らすので、ひっきりなしに鳴っているのが落ち着かない感じですが、それもしばらくすると慣れてしまいました。個室寝台には食事が付いているので、しばらくすると食堂車から夕食の予約時間を聞きにきたので、昼食が早めの時間だったため夕食も一番早い5時でお願いしました。
The Amtrak Signature Steak
個室内でくつろいでいると食事の時間がやってきたので食堂車へと向かいましたが、ここでちょっと辛いのが2人組の場合は必ず相席にされてしまうということです。社交的な人には問題ないでしょうが、残念ながら私は人見知りをするタイプなので挨拶と軽い自己紹介くらいでなかなか打ち解けるには至りません。食事の方はThe Amtrak Signature Steakというのを頼んでまずまずの美味しさだったのですが、寛げないせいでせっかくの味も3割引きといった感じです。楽しそうに会話が弾んでいる席もあるので、私たちと相席になった人達にも気の毒なのですが。

朝も早かったので、食事の後は早めにシャワーを浴びて寝ることにしました。Roometteの場合は共同のシャワー室が車両の1階に1つあるのでそれを利用します。ホテル並みにキレイというわけではありませんが、不潔な感じはないので比較的気持ちよく利用できました。なお、石鹸とタオルは置かれているものが利用できますが、シャンプーはありませんでした。その後アテンダントにベッドメイキングをお願いしましたが、既にセットされたものが上のベッドに用意されているので自分でも簡単にできるようなことでした。

疲れていたのか案外良く眠れましたが、起きてみるとどこかで1時間ほどの遅れが出ていました。景色の方はあまり代わり映えのしない田舎の風景でしたが、深い霧が降りていて視界が良くありません。朝食は予約無しで6時半からということなのでそれを待って食堂車に向かい、オムレツをいただきましたが、これは可もなく不可もなく、ただボリュームはたっぷりでした。昼食も同様に予約不要でしたが、空席がなかったのでウェイティングリストに載せてもらって放送で呼び出されるのを待つという形で、20分ほど待ったでしょうか。食べたのはAngus Steak Burgerで、パティは今ひとつでしたがトマトとレタス、タマネギの新鮮さで救われたような感じでした。
Grilled Salmon
この日は延々と西へ向かってひた走るのですが、車窓からは果てしない牧草地に時々放牧された牛が見えるくらいで、全く変化がありません。牛の群れの中にはかなりの割合で仔牛が混じっており、列車に驚いて線路から離れる方向へと慌てて走る姿も見られました。夕食にはGrilled Salmonを頂いて、その後部屋へ戻った頃、この路線のハイライトたるロッキー山脈へとさしかかりました。しかし残念ながら、列車が遅れてしまっていたこともあって既に日は沈んでしまう頃で、風景を楽しむには遅すぎました。どうも逆方向の列車に乗った方が景色を楽しむには時間的に良かったようですが仕方ありません。辺りも真っ暗になってしまったので私も寝ることにしましたが、翌朝また山岳部へと進みました。ロッキー山脈は越えてワシントン州へは入っていましたが、明るい日差しを浴びて緑の中を走るところを見られたのは良かったです。
Empire Builderシアトル到着
そうして長かった旅も結局出発からちょうど48時間ほど、丸々2日をかけて無事終わり、最後は海沿いをゆっくり走って最終目的地のシアトルKing Street Stationにたどり着きました。振り返ってみるとアクティビティのたくさんあるクルーズ船とはまた違い、ただただ時間を浪費しているのが贅沢なように感じられました。決して安価な交通手段ではないので客層も時間と金のある老人が中心で、ほとんど白人でした。車掌やアテンダント、ダイニングのスタッフなどクルーは皆フレンドリーで親切で、Amtrakで働くことに誇りを持っているようにも感じられ気持ちが良かったです。鉄道マニアの他はかなりの物好きでなければ日本からわざわざ乗りに行くということもないでしょうが、私にとっては良い経験になったと思います。ただ、PSPの充電器を持って行かなかった次男はかなり退屈はしたようですが、それでもそれなりに楽しむことはできたようです。

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