Living Computer Museum予期せぬ宝の山にびっくり。

長い長いAmtrakの旅の終着点はシアトルでしたが、シアトルに何か目的があったというわけではなく、Amtrakでアメリカ大陸を横断するということこそがこの旅の目的でした。しかし、せっかくはるばる西海岸まで行ったからには観光らしきものをして帰りたいものです。

シアトルといって思いつくものはいろいろありますが、イチローのいないMarinersにはちょっと興味がありません。またコーヒー中毒の私にとってはStarbucksをはじめとするいわゆるシアトル系コーヒーということでStarbucksの発祥の地へも行ってみましたが店を外から眺めただけで、長蛇の列の後ろにつく気にはなれませんでした。あとはMicrosoftAmazonの本社があるのと、Boeingがあったことでしょうか。

本当はBoeingの飛行機工場を見学できるThe Future of Flight Aviation Centerというところにも行きたかったのですが、ちょっと離れたところにあるので列車の到着時間とツアーの時間が合わず行くことができませんでした。それではどうしようか、というところで見つけたのがLiving Computer Museumなるものでした。Computer Museumはいいとして、その前にある”Living”というのはどういうことか…というと、要するに展示されているコンピュータが全て動作する状態であるということでした。どんなに歴史的なコンピュータもただ置いてあるだけではただの箱ですが、動作するというのは結構凄いこと、ということで次男も興味を示したので行ってみることにしました。
Starbucks Center
中心部からはちょっと離れたところにあるので15分ほどバスに乗って移動しましたが、バス停から歩き始めると時計塔からセイレーンが覗いている大きなビルが見えてきました。「スタバの本社かなあ」と言いながら見ていましたが、Starbucks Centerという名前で、まさしくStarbucksの世界本社でした。

そして目指していたLiving Computer Museumはそのすぐ近くにありました。訪れたのが独立記念日ということもあって周りがひっそりしていて不安になりましたが、”OPEN”の文字が光っていたので恐る恐るドアを開けてみると、受付にいたのはいかにも白人のオタクという感じの長髪にメガネの青年でした。入場料はもともと大人$6、子供$2と非常に安いのですが、「どうやってここを知ったのか」と聞かれて「Foursquareで」と答えると「チェックインしたら$2になる」ということで、2人でたったの$4になってしまい、さらにこの後行こうと思っていたEMP Museumのそれぞれ$5割引の券までもらってしまいました。
PDP-7
入り口そばのエレベーターで2階へ登ったところが展示室になりますが、ドアが開いていきなり目の前に現れたのはPDP-7でした。今からちょうど50年前の1965年にリリースされ、Unixの最初のバージョンが作成されたあのPDP-7が、目の前で動作しているということで私の興奮は一気に高まってしまいました。このPDP-7は120台発売されたうちで現存すると言われる4台の中でただ1台動作するという、大変貴重なものです。コンピュータの歴史を知らない人にとっても、50年も前のコンピュータが動作するというのは凄いことではないでしょうか。

そうしているうちに説明員がやってきて40分ほどのガイドツアーが始まりました。説明を聞きながら歴史あるマシンたちを順番に見ていきましたが、どうも私ほど感動している人はいないような感じでした。しかし説明員の女性も相当なオタクっぽく、早口でかなりマニアックなことをまくし立てていて、要所要所で質問を求めるものの誰もついていけないようで、アメリカなら当然あると思われた質問もありませんでした。
Commodore PET
展示されているのはPDP-7のほかPDP-8, 10, 11, 12VAX-11/780といったミニコン、世界最初のスーパーコンピュータCDC 6500、そしてAltair 8080に始まりIMSAI 8080Commodore PETなど初期のパーソナルコンピュータなど、本でしか見たことのなかったような数々の貴重なマシンたちで、私の興奮は全く治まりませんでした。

また、コアメモリドラムメモリには私も初めて手を触れましたし、紙テープパンチカードもあり、さらに次男に衝撃的だったのは数MBしか入らない初期の巨大なハードディスクだったようです。

ということで、私はもちろん大満足だったのですが、次男も思いの外楽しめたようです。シアトルに観光でやってきてここを訪れる日本人も稀でしょうが、まさに所蔵品の数々はマニアには必見です。