以前、国宝・世界遺産の姫路城の入場料について「外国人は日本人の4倍程度にすることを検討している」と市長が発言したことで話題になりましたが、これは外国人への差別につながるというようなことでさすがに問題があったようで、結局「姫路市民以外を2~3倍にする」という方向で検討が進んでいるとのことです。

姫路城の二の丸の中に入るための入場料はおよそ10年前に竣工した平成の修理以前は300円だったのですが、工事を境に現在は大人1000円という料金になっています。これが2~3倍となると2000円から3000円ということになりますが、果たして日本国内の皆さんはこの料金を妥当なものと考えて惜しまず支払う気になるのでしょうか。

私は地元なのでよくわからなくなっていますが、仮に現在の3倍になるとすると大人2人子供2人の4人家族だと8000円近くになってしまい、なかなかの負担になります。姫路城に強力な魅力を感じている人であれば、それに代わるものはおそらく無いので値上げの影響は大きくないかもしれませんが、そうでなければ他のところを旅先に選ぶことになってしまわないかというのが心配です。

姫路市の観光は姫路城そのものに頼りすぎていて、姫路城の周りに観光客を惹きつけるような城下町があるわけでもなく、市内の他の観光地といえば書寫山圓教寺くらいのものです。姫路城の隣の好古園は2022年にじゃらんの「一度は見たい「圧巻の絶景紅葉」ランキング!自然が織りなす、美しすぎる景色【全国】」という記事のランキングで一位になったおかげで紅葉の時期には大変な行列ができることにはなってしまいましたが、まあその程度です。

一方で外国人観光客にとっては姫路城が訪れるべきスポットであることは変わりなく、3000円程度でも欧米基準で考えれば決して高くはないので、結果的に外国人比率が今以上に高くなるのではないかという気がします。特にそれが悪いことだとは思いませんが、その受け皿がちゃんと整っているのかという点は甚だ疑問です。

結局、地元市民は今の1000円という料金でも姫路城の中にはめったに入らないので、単なる値上げとあまり変わらないのかもしれません。姫路城の維持にも金がかかっているはずで、それを賄うために今の入場料では足りないということであれば値上げもやむを得ないというより、むしろ必要なことなので、変な小細工をするよりも妥当な価格に設定してほしいと思います。